第55回研究委員会 平成12年9月22日
IJ-9-00
「パルス通電加圧焼結法によるアルミニウムと炭素鋼の焼結接合」
  冨田正吾(富山県工業技術センター)
    長柄毅一(富山県工業技術センター)
佐治重興(富山大学工学部)   
    加藤進(富山大学(学))        
 パルス通電加圧焼結(PCPS)法では、高速昇温が可能なため、焼結プロセスを短時間に 抑えることができる。そのため、本法により焼結接合を行った場合、接合界面での脆弱な反応層生成が問題となる異種金属の固相接合においては、この反応層の成長の初期段階で接合を完了でき、熱応力による変形も少なくなることが期待できる。本研究では、このPCPS法によるアルミニウムと炭素鋼の接合界面での反応層生成および接合継手の引張強度に及ぼす各種焼結接合条件の影響が検討された。
IJ-10-00
「軽金属の摩擦撹拌接合およびその組織制御法としての可能性」
大塚正久(芝浦工業大学工学部)

 摩擦熱と塑性流動を利用する新しい固相接合法−摩擦撹拌接合法−が軽金属に有効であることを示すとともに、摩擦撹拌処理の組織制御技術としての可能性を示唆した。摩擦撹拌接合法は既にアルミニウム合金構造物の接合で確実に実績を挙げつつあるが、接合機構の詳細とりわけ材料の流れ、ミクロ組織の形成過程と特徴、などについてはなお解明すべき点も多い。摩擦撹拌処理法についても状況は類似である。今度の展開を期したい。
IJ-11-00
「第54回界面接合研究委員会議事録」
IJ-12-00
「3次元マイクロ接合によるサイバーマテリアルズエンジニアリングの構築」
宮本欽生(大阪大学接合科学研究所)

 サイバーマテリアルエンジニアリングとは、CAD, CAMと微小機能要素物質のマイクロ接合に基づく機能材料・構造体の自由造型技術を開発し、IT技術と接続することにより、3次元構造の設計とディジタル製造プロセス、製品の環境調和設計、多品種生産、電送、遠隔生産、オンデマンド生産等を実現しようとするものである。このねらいの元に進められている“光造型法による3次元フォトニック結晶の創製と高効率ミリ波通信等への応用”、および“反応性ラピッドプロトタイピングによる金属間化合物の自由造型”の開発研究について報告された。
IJ-13-00   
「Ni-Cu基ろうによるステンレス鋼ろう付継手の高温強度」
斉藤慎二(日本発条)
    恩沢忠男(東京工業大学)
 B,Si,Pを実質的に含まず、従来のニッケルろうと同等の温度でろう付が可能になるろう材として、Ni-Cu系を基本とし、SnまたはMn、および数mass%以下のSiを融点低下元素として含むろう材が新たに開発された。本研究では、この開発したろう材と市販ろう材の高温強度の比較が行われ、その結果、Ni-Cu-Mn系ろうは、特に継手すきまが広い場合に、高温での使用が可能であることが示された。
IJ-14-00
「液相拡散接合の先進的エキスパートシステムの構築」
西本和俊(大阪大学大学院)
 才田一幸(大阪大学大学院)
              妙中 真(大阪大学大学院(現 光洋精工(株)))
 本講演では,液相拡散接合プロセスの最適化手法の確立を目的とし,RBFニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを用いた満足化トレードオフ法による多目的最適化手法を駆使した液相拡散接合の先進的エキスパートシステムを構築した結果が述べられた。さらに,ケーススタディーとして炭素鋼S45Cに対して,本エキスパートシステムを適用し,システムの有効性について検討が加えられた。
IJ-15-00   
「精密拡散接合技術による宇宙機器用推力可変噴射器の開発」
都築圭紀(三菱重工・名古屋航空宇宙システム製作所)
 坂本光正(三菱重工・名古屋航空宇宙システム製作所)
  森合秀樹(三菱重工・名古屋誘導推進システム製作所)
 小林悌宇(宇宙開発事業団)                 
    日下和夫(航空宇宙技術研究所)               
             
 宇宙往還機、衛星に搭載されるRCS(Reaction Control System)の特性向上並びに推進システムの簡素化を図るには、推力可変ロケットエンジンの開発が不可欠である。本研究では、本エンジン機構に不可欠なプレートレット噴射器を開発し、そのエンジン噴射特性の評価が行なわれた。プレートレット噴射器の噴射面は、板厚0.1mmの二相ステンレス鋼薄板60枚から構成される。各々の薄板にはレーザ加工により噴射孔が形成され、これらを積層・拡散接合することにより、三次元の複雑な推進薬流路が確保された。燃焼試験の結果、良好な噴射特性が得られた(比推力=280s(膨張比=20)、燃焼効率=91%)。
IJ-16-00   
「ガラス/金属陽極接合体の界面特性に及ぼす逆電圧印加の影響」
高橋誠(大阪大学接合科学研究所)
             西川聡(大阪大学大学院、(現)発電設備検査協会)
    池内建二(大阪大学接合科学研究所)
 Kovar合金、アルミニウム、およびシリコンをホウケイ酸ガラスに陽極接合して得られた継手に、接合時と逆の電圧を印加し、界面微細組織と継手特性の変化が調べられた。その結果、Kovar合金/ホウケイ酸ガラスの継手で接合時間の短いものは、逆電圧によって再分離することが確認された。しかし、アルミニウム/ホウケイ酸ガラスおよびシリコン/ホウケイ酸ガラスの継手では逆電圧による再分離は見られなかった。但し、後者の継手では、接合界面にたくさんの斑点が現れ、そこからガラスに亀裂が生じた。界面部の組織観察、および水による界面分離の促進作用から、逆電圧による分離は、界面近傍のガラス中のNaの集積によるものであることが示唆された。
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