第58回研究委員会 平成13年9月28日
IJ- 9-01
「アルミニウム合金粉末の直接窒化による粒子表面改質・制御」
東京大学先端科学技術研究センター 近藤勝義

 アルミニウム粉末の表面は熱的に安定なAl2O3をはじめとする酸化物に覆われているため,一般に粉末間の固相焼結性あるいは雰囲気ガスとの反応性を促進することが困難である.そこで,固相温度域においてMgによる還元反応を利用した表面酸化膜の化学的分解法を確立すべく,SR-XPSを用いて膜厚1〜2 nm程度のAl2O3膜中における加熱過程での化学結合状態の変化を把握し,還元分解のための適正条件の抽出を行うことで焼結性の向上ならびに表面反応,例えば窒素ガス導入による窒化アルミニウムの合成といった表面改質・制御を行った
IJ-10-01
「銅およびアルミニウム合金薄板の固相拡散接合」
昭和電工(株) 川畑 博之

 固相拡散接合はよく研究されてきた接合方法で丸棒や厚板を用いた多くの報告例があるが,薄板での実験例は少ないように思われる.そこで,薄板でも従来の報告例のように拡散接合ができることを確認するために0.2mmの薄板形状の銅,アルミニウム合金を用いて固相拡散接合性に及ぼす接合温度と接合圧力の影響を調査し,剥離強度,破断面のSEM観察により評価した.本研究より薄板を用いた場合でも丸棒や厚板を用いた場合と同様に接合可能であることが確認できた.
IJ-11-01
「第57回界面接合研究委員会議事録」
IJ-12-01
「原子間力顕微鏡を用いた電解液/固体電極界面の観察」
大阪大学 大学院工学研究科 ○平井信充,原茂太

原子間力顕微鏡は,真空中,大気中のみならず,溶液中においても原子スケールからナノスケールやミクロンスケールでの三次元分解能が得られるという優れた特徴を有する.本講演では本顕微鏡を電解液中電極表面のその場観察に適用した著者らの研究成果の一部が紹介された.具体的には,電解液中における金属単結晶規整表面の露出方法,電析初期過程の原子スケール観察,鉛二次電池充放電反応機構の解析等について言及された.
IJ-13-01
「真空圧延接合法により作製したアルミニウムクラッドチタン接合部の微細観察」
九州工業大学大学院生命体工学研究科 〇西尾一政
       九州工業大学工学部 加藤光昭,山口富子,恵良秀則,坂本憲一
 アルミニウムクラッドチタンを真空圧延接合法により作製し,その接合部をTEM観察した結果について述べた.すなわち,Al/Tiクラッド接合部にはナノ結晶帯又は微結晶帯が認められ,これらを介して接合が生じていること.微結晶帯におけるAlとTiの組成割合はほぼ75:25であり,FCC構造を有する拡散層,L12型の規則格子並びにTiAl3の金属間化合物が生成していること.そして,これらはAlの被接合面が数百nmの範囲内で溶融することにより生じたものと考えられた.
IJ-14-01
「Ni基単結晶タービンブレードに対する液相拡散補修の適用性」
    大阪大学大学院工学研究科 西本和俊,○才田一幸,草野満洋
(株)東芝 電力システム社 福田雅文,浅井 知,中橋昌子
 
 液相拡散接合法の等温凝固過程における固相のエピタキシャル成長現象を利用したNi基単結晶超合金の液相拡散補修の可能性について検討した.肉盛補修部の組織解析と結晶方位解析を行ったところ,補修部は単結晶化が達成され,最大約40μm程度の肉盛補修が可能であることが明らかとなった.また,通常凝固を併用した肉盛補修では,肉盛可能厚を大幅に増加させることができた.一方,切欠に対する充填補修では,1423K×90ksの条件において,0.1mm×1mmの切欠内部で等温凝固が完了し,補修部全域にわたり単結晶化が達成されることが明らかとなった.
IJ-15-01
「YSZ-Al2O3傾斜機能材と金属の接合技術の開発」
                    三菱重工(株)高砂研究所 〇平井章三,同神戸造船所 惣万芳人
(株)ニッカトー 河波利夫     

 Ti箔とAgろうを用いてYSZと金属を接合する技術を開発し性能評価を行なっていたが,長時間の寿命評価中に界面が突然剥離する現象が見られた.この対策としてYSZとAl 2O 3の傾斜機能材を開発し,Al 2O3側を金属と接合したところ,接合強度が向上するとともに接合面の温度が270℃で5000hr以上の長寿命化が達成でき,接合体の長期信頼性の点で非常に効果があった.
IJ-16-01
「電場下でのガラス/金属界面反応」
大阪大学接合科学研究所 〇高橋誠,池内建二

 アルミニウムとガラスの陽極接合において界面に形成される組織の詳細な構造とその成り立ちを調べるため,ホウケイ酸ガラスとその表面に真空蒸着したアルミニウム膜の間に電圧を印加し,アルミニウム/ガラス界面に形成される組織を透過型電子顕微鏡で観察した.その結果,これまでアルミニウムはガラス中にほとんど侵入しないとされていたが,実際には界面からガラス中に延びる繊維状のγアルミナ結晶となってガラスに侵入することが明らかになった.
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