第61回研究委員会 平成14年9月20日
IJ-09-02
「チタン箔を用いた窒化珪素の固相拡散接合における界面反応制御」
大阪大学 接合科学研究所  前田 将克,柴柳 敏哉,奈賀 正明

 Ti箔を用いてSi3N4を固相拡散接合し,その接合界面組織を解析した.接合界面には,Si3N4に接してTi5Si3が層状に形成される.この層状Ti5Si3内には,冷却過程でα-Ti(N) が析出する.チタン箔の内部では,Ti5Si3がTi粒界に析出する.継手の破壊はSi3N4 / Ti5Si3界面で生じる.Ti箔に予め窒素を固溶させることにより,層状Ti5Si3の成長を抑制することに成功した.これにより,継手強度は3倍に向上した.
IJ-10-02
「超微細粒鋼のハイパー界面接合法の開発」
大阪大学 大学院 工学研究科  西本 和俊,才田 一幸,鄭 譜永,郡山 真一

 超微細粒鋼に対する新たな接合法の確立を目的として,瞬間表面溶融圧接をコンセプトとするハイパー界面接合法なる接合技術を提案し,超微細粒鋼への適用性に関して検討した.超微細粒鋼のハイパー接合部の組織は主としてベイナイト組織からなり,一部に島状マルテンサイトが認められるとともに,接合界面近傍の結晶成長は十分抑制できた.超微細粒鋼のハイパー界面接合継手は,引張強さ,伸びおよび絞りとも母材と同レベルであった.本研究で開発したハイパー界面接合は,瞬間表面溶融による材料一体化を特徴とし,超微細粒鋼の接合に適用した場合,母材への熱影響を最小限に限定し,接合部の結晶粒粗大化を十分抑制できる接合が可能となった.
IJ-11-02
「第60回界面接合研究委員会議事録」
IJ-12-02
 特別講演「溶射による急速凝固を利用した微細組織複合材料」
         大阪大学 産業科学研究所  村上 健児
関西大学院生 星山 康洋
   関西大学 工学部  三宅 秀和
         大阪大学 産業科学研究所  中嶋 英雄

 溶射の大きな特徴の一つは、溶射材料に化学反応を生じさせ、この高温融液を基板上で急速凝固させて微細な組織を持つ複合材料(複合皮膜)を作ることが可能な点である。ここでは、複合粉末の溶射によってチタンアルミナイド中に微細なホウ化物、炭化物あるいは窒化物粒子を生成・分散させた皮膜、および金属を大気中溶射し、金属の一部を酸化させて作製した金属/酸化物複合皮膜について述べる。
IJ-13-02
「溶射法によるチタン基複合材料リングの開発」
叶謳i材料利用ガスジェネレータ研究所
                  山田 毅,福島 明,藤原 力,廣田 雅,河内 幸雄,山本 伸一
 
 溶射プリフォームを用いて箔/繊維/箔法によりチタン基複合材料を製造した。SiC連続繊維とMoワイヤを巻き付けた状態で溶射し,均質なスパイラル状の溶射プリフォームを得た。複合材は,熱間静水圧成形(HIP)により,120MPa,1048K,2時間の条件で複合化した。複合化後,機械加工によりリング形状とし,回転試験に供した。リングは,51183rpmで破断した。この値は,材料特性から計算した値より15%低下していた。
IJ-14-02
「アルミニウム合金FSW継手の高温および疲労特性」
芝浦工業大学 工学部 材料工学科  大塚 正久,横田 武男

 摩擦攪拌接合法(FSW)は,摩擦圧接法,拡散接合法,超音波接合法などの伝統的な固相接合では困難な軽金属(特にアルミニウム合金)板を迅速に接合できるため,近年鉄道車輌など輸送機器の製造に実用化されつつある.しかし,発明後日が浅いこともあって,基礎研究の立ち遅れは否めない.講演では,展伸用および鋳造用アルミニウム合金,さらには市販マグネシウム合金板材へのFSWの適用性を,組織と機械的特性の観点から検討した結果を述べる.
IJ-15-02
「Al-Mg合金の超音波接合」
新潟大学 大学院 工学研究科  平石 誠 ,渡辺 健彦


 マグネシウム(Mg)含有アルミニウム(Al)合金の超音波接合性は純Alに比べて劣り,純Alと同等の接合強度を得るために長い接合時間を必要とした.破面のSEM観察およびAES分析の結果,Al-Mg合金の超音波接合では,接合過程でMgの表面偏析層が生じ,これが接合面積の拡大を阻害していることがわかった.
 改善策として接合界面にアルコールを滴下したところ,短時間で高い接合強度が得られた.アルコールは,試料間の相対運動を活発にし,接合界面の温度を上昇させ,Mg表面偏析層の破壊を促進することがわかった.
IJ-16-02
「アルミニウム合金と鋼材との摩擦圧接界面の微細組織と接合強度」
       大阪大学 大学院 工学研究科 生産科学専攻  山本 尚嗣
大阪大学 大学院(現新明和工業梶j 福永 貴生
 大阪大学 接合科学研究所  高橋 誠,池内 建二
竃{田技術研究所  藤田 雅            

 Al合金中および鋼材中の合金元素が、摩擦圧接の継手性能にどのような影響を与えるかを、金属学的視点から明らかにするために、組成の異なる各種の鋼材およびAl合金を用いて摩擦圧接を行い、機械的性質および界面微細組織を調べた。
 その結果、摩擦圧接界面領域には厚さ1000nmあるいはそれ以下の金属間化合物層および50nmの酸化物層などの界面層が形成され、界面強度を支配する要因となることが分かった。
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