燃焼試験中のプレートレット噴射器
firerest
injector
インジェクター
plate
プレート
3-D
3-D構造図
crossection
流路構造
bond
接合界面(中央部)

精密拡散接合技術により作成した宇宙機器用推力可変噴射器

  一般に宇宙往還機、衛星等に搭載される小型スラスタは、宇宙空間での姿勢制御の精度を高め、かつ燃料を節約するためには小さな推力が望ましい。一方、大気圏への再突入時や軌道修正時には機体のトリムを確保するために比較的大きな推力が要求される。このため通常は各飛行フェーズでの推力要求を満たすため、大推力、小推力の2種類のスラスタが複数基搭載されており、部品点数の増加によりエンジンシステムが複雑化し、信頼性の低下、重量増大を余儀なくされている。従って、1基のスラスタで大小推力を可能とする推力可変ロケットエンジンのを開発することにより、大幅な重量軽減並びにシステム の簡素化による信頼性の向上が期待できる。
 そこで、本エンジン機構のキーとなる推力可変噴射器(プレートレット噴射器)の開発を行った。このプレートレット噴射器は、あらかじめ推進薬の流路パターンを穴あけ加工したステンレス鋼薄板を積層・拡散接合することによって流路構造を確保するため、三次元複雑流路構造を形成することができる。このため、これら流路の選択により推力の切り替えが可能となるほか、噴射面全面で燃料と酸化剤の衝突点を形成できるため、エンジン燃焼効率の向上も期待できる。
   材料は(d+g)二相ステンレス鋼を選定し、精密拡散接合技術の確立により、複雑流路構造を有するプレートレット噴射器を開発した。
 
H13溶接学会秋期全国大会技術フォーラムより
<提供 三菱重工業株式会社>      
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