マイクロ接合研究委員会　第43回

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M J 　　第４３回　マイクロ接合研究委員会

			第４２回	第４５回

■ MJ-232-94・・・Ｐｂフリ－はんだの開発動向

竹本　正(大阪大学)

　Ｐｂ使用規制により現行のＳｎ－Ｐｂはんだの使用が禁止された場合の問題点と海外における研究状況の概要が説明された．はじめにＰｂの毒性と規制の概要が述べられた．代替Ｐｂはんだとして三つの選択枝が示され，海外での研究及び実装分野での最大の関心は現行機器とプロセスに使用できるはんだの開発であり，いくつかのＳｎ基合金の機械的特性，ぬれ，疲労特性などの研究状況が紹介された．現在はまだデ－タが十分公開されておらず，はんだの溶融温度範囲が広い，ぬれが十分とはいえない，ソルダペ－ストとしての特性および信頼性等が十分明らかでないなどの問題点が指摘された．

■ MJ-233-94・・・量産用エキシマレ－ザ加工システム

秀樹，出雲正雄，中谷　元，江浦　隆
八木俊憲，伊藤慶子(三菱電機㈱)

　エキシマレ－ザによるアブレ－ション加工は光化学反応を利用した熱的影響の極めて少ない良好な加工が実現できるという点で微細加工に適している．これまでにプリント基板，インクジェットノズル，ワイヤストリッピングなどへの適用が考えられている．当社ではアブレ－ション加工を行う装置の開発を行ってきた。今回，紹介する装置システムは２４Ｗ（６００Ｈｚ）のＫｒＦエキシマレ－ザ発振器（波長２４８ｎｍ）を用いたマスク転写方式のレ－ザ加工システムである．本システムの特徴は、多重反射光学系という独自の光学技術をもって従来の光利用率を飛躍的に高めた（従来比１２倍）点にある．あわせてマスクと被加工物をレ－ザ光軸に対して対象に同期スキャンすることにより一括加工できる領域を拡大した（１００ｍｍ角）．発表の中では本システムの発振器技術，光学技術とともに，本システムによる加工実験から，今後利用が考えられる材料に対してエキシマレ－ザの持つ加工能力，加工特性などについても報告する．

■ MJ-234-94・・・認識による位置決めの課題と取り組み

　本多素春(ニチデン機械㈱)

　認識技術の課題と今後の取り組みは以下である．
(1) 照明の均一化・安定化
　半導体素子サイズの大型化に十分対応する安定した認識を実現させるため面発光型の同軸照明を採用した．これにより半導体素子を均一に照射することで，大型チップの安定した認識を実現した．今後は低価格化，更なる均一化，ワ－クの大型化にも対応した照明系技術の確立を図りたい．
(2) 最適なパタ－ン画像の獲得
　多値化認識の主方式であるパタ－ンマッチングにおいては，鮮明で特徴的なパタ－ンを得ることが必要である．より安定した認識を実現するため，コントラスト差のあるパタ－ン画像を獲得する照明系技術の確立を図りたい．
(3) 光学系の高解像度化
　実装機は光学系のワ－クディスタンスが長くなり光学系の解像度確保には不利となっている．また，高精度認識においては光学系の高倍率化により対応してきたが，それも限界レベルまできている．今後より高精度な認識位置決めを行うに当たり，各種チップに対して十分な光学系の解像度を得るための光学技術の確立を図りたい．
(4) 認識精度の向上
　２値化認識の標準タイプ（分解能384x240画素）・高精度タイプ（分解能512x480画素）と認識精度を向上させた．さらに多値化認識（分解能640x480画素）において，±5μmのマウント精度を確保した．今後は±2μmのマウント精度を実現する認識技術の確立を図りたい．
(5) 処理速度の高速化
　インデックスの高速化は生産効率を高める重要項目であり，更に高速な装置が望まれている．より高速化できる技術の確立を図りたい．
(6) 認識率の向上
　誤認識ゼロを最終目標とし，パタ－ン画像が良好ではない状態でも認識できるよう認識処理の安定性向上を図りたい．
(7) 精度検証
　高精度認識の実施においては，認識精度，総合精度の予測に対する，精度検証が難しいものとなる．計測環境，機器を含めた検討により検証技術の確立を図りたい．

■ MJ-235-94・・・マイクロ接合部のレ－ザフラッシュ法による熱物性評価

山根常幸(㈱東レリサーチセンター)，齋藤重正(富士電機㈱)

　固体材料の熱拡散率及び比熱測定の標準的手法として広く利用されているレ－ザフラッシュ法及び示差走査熱量計（ＤＳＣ）法を用いて，多層構造を有する基板材料接合界面の熱抵抗の評価することを検討した．その結果，接合界面を厚さ数μm程度の層とみなし，熱抵抗をパラメ－タとして算出した多層材料に対する熱伝導方程式の解と，実測デ－タを比較することで，熱抵抗が定量的に評価できることがわかった．該手法を，銅層とセラミック層の接合方法の異なる２種類の窒化アルナ系基板に適用し、接合方法の違いが接合界面の熱抵抗に及ぼす影響について考察した．

■ MJ-236-94・・・Ｘ線ラミノグラフィによる電子回路基板の断層撮像技術

越柴洋哉(㈱日立製作所)

　高分解能化が容易に実現可能な新しいラミノグラフィ方式のＸ線断層撮像技術を開発した．試料とＸ線検出器とを，照射Ｘ線の光軸に対して傾けて配置し，かつ，同期回転させることで，焦点面以外の像をぼかし，断層像を得る方式である．Ｘ線検出器の回転は，検出光学系に像回転プリズムを挿入することで実現している．本ラミノグラフィ方式は，Ｘ線源を自由に選択できるため，以下の特徴を有する．
　(1)マイクロフォ－カスＸ線源を使用することで，高分解能が容易に得られる．
　(2)既存のＸ線撮像装置の試料ステ－ジとＸ線検出系を交換することで，断層像を検出できる．
　マイクロフォ－カスＸ線撮像装置をベ－スマシンとして，実験装置を構築した．各種の電子回路基板の断層像を検出し，表面実装基板のはんだ付部やはんだボ－ル，及び多層基板の内層配線等の検査計測に有効であることがわかった．

■ MJ-237-94・・・高速バンプ外観検査技術

安藤護俊，塚原博之，西山陽二高橋文之，布施貴史(㈱富士通研究所)

　高速計算機用チップの実装に用いられるハンダバンプの外観を，接合前に高速計測する技術を開発し，その実用化に成功した．ＬＳＩチップをハンダバンプを用いて直接基板に実装するフリップ・チップ実装方式は，チップ全面から多数の信号を短い配線長で取り出すことができ，信号の高速伝達が可能であるため開発が進められている．多数のバンプで接合されたシステムの信頼性を保証するためには、接合前に全バンプの外観を検査し，形状不良，表面酸化などの不良を取り除いておく必要がある．外観検査では，バンプの高さ・寸法・光沢などの計測が必要である．高さ計測では，表面の暗いバンプをも検査できる大きなダイナミックレンジ(100)と高精度計測（±5μm）が必要である．高さ計測方式としてレ－ザビ－ム走査光と高速PSD（ビ－ム位置検出素子）とからなる三角測量法方式を開発した．この方法によれば，明るさダイナミックレンジ100が得られ，高さを±3μmの精度で計測できる．直径・光沢計測方式として浅焦点深度の顕微鏡を用いた高速計測方式を開発した．この方式では，バンプの直径を±5μの精度で計測できる．これらの技術に基づいて開発した実用検査機は2000バンプの乗ったチップ（20mm角）を2分で検査できる．この検査装置は富士通内の工場で稼働中である．

■ MJ-238-94・・・IEEE 1149（Boundary-Scan）を採用した検査システム

塗矢康三，久々津厚士(松下電器産業㈱)
石原茂美(横河ヒューレット・パッカード㈱)

　今回バウンダリ・スキャンを採用した新しい検査システムを構築した。近年電子機器に使用される実装基板はＡＳＩＣ（カスタムＬＳＩ）の増加や両面高密度実装化が進み、その検査に課題を生じてきている。そのような中でディジタルのデバイスの検査の簡易化、検査性の向上を目指して1990年にIEEEでバウンダリ・スキャン技術が規格化された。バウンダリ・スキャンはデバイス内部にレジスタやコントロ－ラ等の検査回路を内蔵し、それらのレジスタを利用して回路上の配線の短絡、解放不良やデバイスの検査を行う。このとき回路への物理的なアクセスが従来のインサ－キット検査に比べてより少なくすることができ、不良箇所の診断も可能となる。検査用のプログラムもソフトウェアで自動発生できる。この検査システムを放送用ディジタルＶＴＲや民生用ＤＴＶに採用し、検査率の向上、検査プロ－ブの削減、不良箇所特定、検査プログラム開発効率向上等のバウンダリ・スキャンの効果を確認した。

　 平成6年度配布資料一覧

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