ソルダリング分科会　第12回

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M J S　第１２回ソルダリング分科会

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日時：平成４年２月　６日（木）１０：３０～１６：４０
　場所：自動車会館　会議室（１Ｆ）
　
【主題　マイクロソルダリング工法と機器】

○ MJ-S-64-92　「ファインピッチリードのレーザソルダリング技術の開発」
　　　　　　　　三菱電機(株)生産技術研究所　生田目雅章，村上光平，弘田実保，林　修，　星之内　進

1)ＴＣＰとＱＦＰの特徴と違いを説明し，ＴＣＰの必要性を強調．
2)パルスヒート方式とレーザ加熱方式について説明し，後者の優位性を述べる．
3)パルスレーザ光をリードごとに短時間（10ms）照射して接合するレーザソルダリングを開発．
4)レーザソルダリングの利点を説明する．
(1)リペヤーがしやすい．
(2)リードとパッドの角αがバラついていても接合が良好．
質疑応答：レーザの出力，レーザソルダリング時のはんだバインダーの蒸発等の問題について交わされた．

　
○ MJ-S-65-92　「ファインピッチ対応リフローソルダリング」
　　　　　　　　九州松下電器(株)生産技術研究所　　西　壽雄
1)開発のコンセプトを説明する．
　　(1)一般表面実装部品との一括リフロー，
　　(2)既存設備の有効活用
　　(3)工法，材料，部品，設備にいたる全要素の見直し
2)S-FPACを中心にファインピッチリフロソルダリングについてのべる．
3)はんだ供給法の問題点と解決策，プリコート法を提案．プリコート厚はリード曲げ精度（40μｍ）以上として90μｍとする．
4)搭載前のリードフォーミングの必要性とその工程を説明
5)基板とランド寸法等について説明
6)低残渣タイプのフラックス(フロン問題対応)等を考慮してソルダリング
7)実装技術を概説し今後の対応を述べる．
　
質疑応答：はんだ内の酸素濃度は？，
　　　　　　　　1000ppm以下が必要，Ｎ２りリフローでは100ppm．
　　　　　　　　　溶剤はのこるか？，
　　　　　　　　　　化学反応が起こり残らない．
　
　　コメントおよび話題提供者　　　　　西村清矢
　ＳＳＱＦＰの製造についてコメント，ＱＦＰのリードにはんだメッキにより２５μｍ厚膜コートをし，ランドにはペーストを配し，接合する．
　メッキ面の平坦度による影響度について説明を加える．この手法では，熱圧着でするべきこと述べる．

　
○ MJ-S-66-92　「半導体におけるフラックスレスはんだ接合技術」
　　　　　　　　富士電機(株)　松本工場　　　　蒔田一之，中田勝栄
　　　　　　　　　　　　　松本テ゛ハ゛イス製作所　宮城正英，百瀬勝章，中野賢治
　　　　　　　　　　　　　生産技術研究所　　斎藤重正
　パワーモジュール用半導体チップのアルミナ基板上へのはんだ接続におけるボイド低減化方法について詳細に検討した結果が報告された．
１．目的
　　パワーモジュール製品では放熱効率がよくないと機器内部温度が上昇してしまうので，ボイドレスはんだ接合が望まれる．フラックスレスはんだ接続におけるボイド形成に及ぼす，雰囲気，被接合部表面の影響を調べた．
２．供試材
　　基板：Ｎｉ－Ｐめっき／無酸素銅／アルミナ（表面処理法，めっき方法を検討）
　　はんだ：Ｐｂ－Ａｇ－Ｓｎ（融点約３００℃）
３．雰囲気
　　Ｈ２＋Ｎ２大気圧（露点，酸素濃度の影響を検討）
４．結果
4.1　　雰囲気の影響
　　ボイド面積率目標値を１％とすると，雰囲気酸素濃度は200 ppm 以下，露点は－４０℃以下にする必要がある．
　　ボイド内部の分析から
　　　①　無電解Ｎｉ－Ｐめっきの有機物の残存（Ｃを検出）
　　　②　無電解Ｎｉ－Ｐめっきのぬれ性低下（ぬれていない箇所を検知）
　　　③　すずの酸化（ＳＡＭによる元素分布で確認）
　　等がボイド形成原因と考えられた．
4.2　　Ｎｉ－Ｐめっき
　　加熱時に発生するガスを抑制しボイドを低減するためには無電解Ｎｉめっきの清浄化（脱脂洗浄）が有効であった．
　　Ｎｉ－Ｐめっきのはんだ付性は，めっき皮膜全体のＰ濃度ではなく，表面Ｐ濃度と相関があり，Ｐ濃度が低くなるほどぬれ性が良好となった．
　
　以上のように，清浄雰囲気，清浄表面を使用することにより，フラックスレスはんだ接続におけるボイド面積率を低減することが可能となった．

　
○ MJ-S-67-92　「ＶＰＳにおける酸素の影響について」
　　　　　　　　徳山曹達(株)藤沢研究所　　大庭誠一郎，平田政巳，本田　進
　電子部品の小型化にともない，微細パッドに印刷されるはんだペースト，はんだの粒径が小さくなり，はんだ酸化の問題が重要となってきている．この酸化の影響をＶＰＳとＩＲリフローの比較して検討した結果が報告された．
1)　ＶＰＳ蒸気層の酸素濃度に関する実験として，不活性液体ペルフロードＩＬ３１０の蒸気層内での銅箔の加熱実験を行い，蒸気層上面数mmを除けば酸素が存在しないことを確認した．
2)　リフロー時のはんだの形状において，ＶＰＳとＩＲリフローで大きな違いがある．
　　　ＶＰＳ　　　；規則的な形状，濡れ角，表面状態をしめす．
　　　ＩＲリフロー；大きいばらつきを示す．
　　これは，ＶＰＳが酸素濃度ゼロでのリフローなので，溶融はんだが自由液体として挙動するためであろう．
3) 飽和はんだ量とパッド幅の相関を実験結果から導いたところ，
　　　飽和はんだ量＝ｋ・（パッド幅）１．５６３
　　となり，ＶＰＳの場合には，ほぼ直線関係が得られる．
4) 印刷はんだ量には，以下の点が影響する
　　　a)マスク開口部の寸法の変動
　　　b)部品の電極サイズの変動
　　　c)電極や端子にプリコートされているはんだ量の変動
　　　d)ＱＦＰ端子の折り曲げ角度の変動
　　　e)オーバーエッチングによるパッドの細り
　　　f)はんだ濡れ不良，極薄プリコートはんだの酸化によるはんだ弾き
　　これらの諸項目を管理し，供給はんだ量が飽和はんだ量以下に管理されていれば，ブリッジは発生しない．

　
○ MJ-S-68-92　「ファインピッチおよび無洗浄におけるＶＰＳとＮ２リフロー法の比較」
　　　　　　　　タムラ製作所中央研究所　　安部　可伸
　部品の小型化，フロン規制からのペーストの制限にたいして，リフロー方法について比較検討された結果が報告された．
1) ファインピッチ化，無洗浄化に対する要望事項としては，以下のようなものがある．
　　ファインピッチ化
　　　a)　0.3mmピッチＱＦＰのはんだ供給をペーストの印刷で行う場合，印刷上平均はんだ粒径が 20μm 前後となる．通常，粒子径が小さくなるほど，ソルダーボールが発生しやすくなるが，ソルダーボールを防止したい．
　　　b)　リードピッチが狭くなるほど，ペースト印刷法ではブリッジが発生しやすくなるが，ブリッジを防止したい．
　　無洗浄化
　　　a)　チェッカピンのコンタクト性を向上するため，低残渣となるペーストとしたい．一般に，低固形分，低フラックスでは，ソルダーボールが発生しやすいが，ソルダーボールを防ぎたい．
　　　b)　ソルダーペーストをハロゲン化したい．一般的にノンハロゲンの場合，濡れ広がり性が劣るが，従来なみの濡れ広がり性を確保したい．
　
　　　　　　　　2)ＨＡ,Ｎ２リフロー，ＶＰＳリフロー法の総合比較

　ＨＡＮ２リフロー VPSリフロー

ソルダーボール × ◎ ○

濡れ広がり × ◎ ◎

ブリッジ × △ ◎

ウィッキング現象 ◎ 　 △

マンハッタン現象 ◎ 　 ×

ランニングコスト ◎ △ △

付帯設備 ◎ 　 ◎

検査・リペアコスト × ○ ◎

制御性 △ △ ◎

　
3)リフロー法を選択する場合，どのような特性を要求するかで，方法が決まる．ペースト内のはんだ粒径がますます小さくなり，ソルダーボールがでやすくなるのに対して，付加されるフラックスは低活性で低固形分と相反する要求に対して，Ｎ２リフロー法，ＶＰＳがこれに応えられる特性を持っている．

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