日時:平成6年 1月28日(金)10:30〜17:00
場所:自動車会館 会議室
(1F)
【主題 BGA VS 0.3mm ピッチQFP/ソルダリングからのアプローチ】
○ MJ-S-85-94 「VLSIパッケ−ジの動向
(QFP
0.3mm ピッチ化,BGA動向)」
日本電気(株) 春日 壽夫
LSIパッケージの中でもASICのパッケージでは,多ピン化が顕著であり,セラミック系のパッケージでは,PGAで528ピンが実用化され,1000ピンの試作や2000ピンの開発が進められている.一般民生用としてはプラスチック系パッケージの多ピン化対応が強く望まれており,プラスチックQFPにおいて,304ピンまでが実用化されており,504ピンの実用化開発が進行中である.
多ピンプラスチックQFPでは,ワイヤボンディングにおける長ループ化・低ループ化,狭ボンディングパッドピッチ,モールディング,リード加工技術が非常に重要である.
○ MJ-S-86-94 「BGA実装技術」
九州松下電器(株) 酒見 省二,前田 憲,境 忠彦
電子機器の小型・軽量・多機能化が急速に進んでいる.これらを達成するために,高密度化・高効率化を図るマルチチップモジュ−ル(MCM)の採用が検討され始めている.またMCMを始めとして,モノリシックICにおいてもCPUやASICなど多ピン化が要求されるパッケ−ジが増えている.これらに対応するため
0.3mmピッチQFPやTABなどが検討されているが,実装の難易度が増すことと,基板をはじめとする周辺技術の対応も必要なことから,多ピン化に対応し易くまた実装も容易なボ−ルグリッドアレイ(BGA)というパッケ−ジが注目されている.このパッケ−ジの最大の特徴であるバンプの形成をクリ−ムはんだ印刷で実施するために,バンプの形状を球の一部とみなして簡単な計算によりバンプ高さの設計と接合条件の解析を行った.また,実際に試作を行うことで印刷法の可能性が確認できた.更に,基板実装後のバンプ接合部の信頼性を評価するために,FEM解析を使って最大歪振幅を求め,バンプ形状や基板材質によって熱疲労寿命がどの様に変化するのかを推測した.その結果,有機基板(ガラスエポキシ等)をベ−スとしたBGAは,バンプ形状によらず高い信頼性が期待できるパッケ−ジであるということが判った.
○ MJ-S-87-94 「BGA用はんだボ−ル」
千住金属工業(株) 浅野 省三
マルチチップモジュール(MCM)のパッケージとしてボールグリッドアレイ(BGA)というパッケージ形態が関心を集めている.
BGAは,フリップチップのエリアバンプ方式のように,はんだバンプを格子状に配列し,リードを使用せず所定の部分から最短距離でマザー基板導体に接続する方式で昨今の高密度化,多ピン化が進む中で集積度に比して実装性に優れたパッケージ形態であるといわれている.
BGAのバンプの形成法はいくつかの方法が紹介されているが,ここでは,実用されている方法の一つであるはんだボールによるバンプ形成法について述べる.
1.はんだボールの製造方法
はんだボールの製造方法は種々の方法が考案,実用化されているが,一般に,はんだを非酸化雰囲気の媒体(固体・液体・気体)中で加熱溶解し,溶融したはんだの表面張力を利用し,球状化する方法が行われている.
2.スパークルソルダーボール
スパークルソルダーボールは,球形のはんだボールのSタイプとAg核ボールに,はんだをコートしたCタイプがある.BGA用途として,0.76mmφのボールがでている
3.はんだボールによるBGAのバンプの形成
はんだボールによるBGAのバンプの形成は,次のような工程が考えられる.
BGAパッド→フラックス塗布→マスク合わせ
→はんだボール充填→加熱処理→マスク除去
4.はんだボールによるバンプ形成法の長所と短所
ペースト法と比較した場合のボール法の長所と短所について考察する.
5.はんだボールの供給方法
はんだボールの供給方法は,ボールによるバンプ形成法の適否を決定する重要な問題であるが,まだ公開された確立された方法はない.
6.まとめ
現時点では,ボールの供給技術の問題や検査性・リペアー性の問題などが言われているが,実装の容易さや他部品との整合性など他のパッケージにない優れた特徴をもっていると考えられ,今後の進展を期待するものである.
MJ-S-88-94 「0.3mmピッチQFP実装」
松下電子工業(株) 坂口 茂樹,南尾 匡紀,野久保武史
0.3mmピッチQFPを実用化するために解決しなければならない課題を
0.5mmピッチQFPとの比較の上で検討した.
コープラナリティ(リード平坦度)は,0.08mm以上で急激に不良率が増加する.このため,コープラナリティを
0.08mm 以下に抑える必要がある.また,はんだフィレットの高さはリード厚み以上であることが必要であり,リード幅に関しては 0.12mm が妥当である.
○ MJ-S-88-94 「0.3mmピッチクリ−ムはんだ印刷とソルダリング」
日立テクノエンジニアリング(株) 三階 春夫,岡田 浩志
一括リフロー法としてのはんだペースト法について,ファインピッチ,高信頼性はんだペースト印刷,はんだ付けおよび信頼性のポイントを
0.3mmピッチQFPを対象に検討した.下表にはんだペースト印刷の条件を記す.
安定した
0.3mmピッチQFPのはんだペースト印刷のためには,適切な流動特性と厳選されたはんだ粒子を持つはんだペースト,はんだペーストの押し込みと版離れが容易な開口部の形状や表面粗さを有するマスク,適切な版離れ速度が実現できる版離れ機構とパッド上に正確にマスク開口部を位置合わせする印刷精度を持ち連続印刷性を維持するためのマスク清浄装置をもつ印刷機が必要である.
また,はんだ付け後のピール強度についてはTCPと同等以上で,低残渣はんだペーストと
N2リフローとの組み合わせのイオン残渣試験においても,洗浄無しでMILの許容値よりも低い値を示し,0.3mmピッチQFPの無洗浄実装のみ通しを得た.
表 ファインピッチはんだペーストの印刷条件
はんだ
ペースト |
粒子形状
平均粒子径
流動特性 |
球形
開口幅の20%以下(10μm以下除去)
適正な粘度とチキソ指数 |
マスク
|
製 法
断面形状
厚 さ
大きさ
パターン位置
清 掃 |
アディティブ法
滑らかな直線状
0.1〜0.15mm
ローリング助走区間を十分取る
マスクの中央部
開口部・裏面のはんだ・フラックス |
スキージ
|
形 状
取付け角度
硬 度 |
平形
50〜60゜
70〜80 deg |
印刷条件
|
スキージ速度
印 圧
ギャップ
版離れ速度
落し込み量 |
10〜20mm/s
0.1〜0.2N/mm
0〜0.1mm(コンタクト印刷)
0.1〜0.2mm/s
0.2〜0.3mm |
○ MJ-S-89-94 「QFP/BGAプリント配線基板設計」
イビデン(株) 塚田 輝代隆
QFPのリ−ドピッチが0.5mmから0.3mmにファイン化する一方,BGAパッケ−ジが提案され一部量産が始まっている.BGAの狙いは実装が容易である,PIN当たりのコストが低い等のメリットがある.今後多ピン化が進むに当たって,プリント配線板にはファインパタ−ン対応が必要となってくる.現在サブトラクティブ法によって形成される回路設計値の限界を明確にするとともに,アディティブ法,ビルドアップ基板の現状の到達技術を紹介する.この技術をQFP or BGAに適用した時のメリットについて説明する.
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