ソルダリング分科会　第24回

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M J S　第２４回ソルダリング分科会

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日時：平成９年１０月３１日　(金)　１０：３０～１６：３０
　場所：自動車会館　(　東京　市ヶ谷　)

【主題　はんだ接合部の信頼性と高強度はんだ】

○ MJS-131-97　　　　「表面実装におけるはんだ接合部の強度信頼性」
　　　　　　　　横浜国立大学　　白鳥正樹　于強

　まず、はんだ接合部の信頼性評価の手法として現在行われている過負荷(加速)試験の意義と限界について述べる。次いで実際の使用条件を想定した熱サイクル疲労寿命を合理的に評価する目的で新たな評価方法を提案する。この評価法は(1)弾塑性クリープ解析、(2)熱サイクル試験、(3)機械的等温疲労試験および(4)結果の評価の4段階よりなる。各項目について詳細な説明を行う。

○ MJS-132-97　　　　「電装部品におけるはんだ接合部の信頼性」
　　　　　　　　(株)本田技術研究所　森山正人　喜多晃義
　　　　　　　　　　　　　　　　　　向坊長嗣　安藤敬祐

　社会的に重要性を増す安全、環境対策を考えると、自動車のエレクトロニクス化の進展は益々加速する傾向にあるといえる。そうした電装部品の、電気接合という屋台骨を担うハンダであるが、古い歴史を持ちながら、その信頼性は意外に知られていないのが事実である。特に、最大の特徴である低融点性(Sn-Pb共晶で183℃)は、常温環境下でも組織変化、物性変化を起こし易いことを示し、耐久性では逆に欠点にもなりうる。民生と違いエンジンルーム内等、過酷環境下に搭載される場合がある車載では、ハンダの信頼性を十分知り尽くした上で使用しなければならない。本研究では使用頻度の高いSn-Pb共晶ハンダ材に関して、劣化モード4種(①熱疲労 ②金属間化合物成長 ③クリープ ④振動疲労)の信頼制評価を行った。信頼性工学的手法を取りいれ、最初に劣化メカニズムを究明し、加速試験方法及び特性パラメータを設定した。その上で、数水準の条件で加速試験を実施しストレス依存性を求め、劣化のモデル化を行った。一方で環境ストレス頻度を求め、それらをマイナー則を用いて融合することで、寿命保証に必要な加速試験条件(要件)の設定を可能とした。

○ MJS-133-97　　　　「耐サイクルストレスはんだの特性とそのはんだ付け」
　　　　　　　　(株)日本スペリア社　西村哲郎

　従来Sn-Pb共晶はんだで構成されてきたはんだ接合部の信頼性をさらに向上するため、新たに共晶系強化はんだを開発した。本稿では新たに添加した成分がはんだの機械的強度に影響を与える変化を明らかにすると共に、熱疲労と応力疲労の両方が一度にかけられるヒートショック試験によって、共晶はんだと開発した強化はんだの比較を行い、その結果について考察する。ヒートショック試験では、紙フェノール基板にコネクターを接合したものを、-40℃/+80℃で1000サイクルまで行った。また、基材による差を確認するため紙フェノール基板と最近多く使用されるようになったガラスコンポジットエポキシ基板で部品のリード線があるかないかが、はんだに及ぼす影響も調べた。そしてはんだ付け部のはんだ付着量の大小の差による信頼性への影響を調べ、その結果について考察する。これらの結果、開発した共晶系強化はんだは従来の共晶はんだに比べて機械的強度が強いだけではなく、開発したはんだの特性が基材や部品の変化にも柔軟に対応でき、かつ、はんだ付けフィレットを大きくできるソルダーバックシステムによるはんだ付けで、さらに大きくはんだ付け部の信頼性を向上できることが証明されたと思う。

○ MJS-134-97　　　　「はんだの耐疲労性向上について」
　　　　　　　　大豊工業(株)　吉留大輔　田中靖久
　　　　　　　　トヨタ自動車(株)　中村充男　石田英樹
　　　　　　　　ソルダーコート(株)　原四郎

　近年、車載用電子制御ユニットにおいても接続の微細化が進み、さらにはPL法の施行も重なり、接続を支えるはんだには高信頼性がますます求められてきている。筆者らは市場でのはんだ付け部の信頼性は、はんだの熱疲労特性に起因すると考え、油圧加振式疲労試験機を用いてはんだにおける破壊モードの分類分けとその再現試験、発生メカニズムについて解析した。その結果、はんだの熱疲労特性はSnとPbの拡散による組織の粗大化に依存することがわかった。そこで、当社主力製品であるすべり軸受における知見をあわせて、共晶はんだに3種の金属元素を添加し前述の疲労試験機に供試したところ、組織の粗大化が抑制され共晶はんだの10倍以上の疲労寿命をもつことが確認された。粗大化を抑制している要因は添加元素による金属間化合物がはんだの結晶粒界に晶出することによるピン止め効果と考えられる。本報告においてはこの高強度はんだの開発経緯についてに述べると共に、使用実績についてもふれていく。

○ MJS-135-97　　　　「高強度はんだ合金の要求特性とソニーの導入事例」
　　　　　　　　ソニー(株)　富塚健一　大類研

　はんだ接合部の強度向上は、電子機器製品の信頼性向上の観点から重要なテーマである。信頼性向上の手段としては、設計、製造プロセスの改善が不可欠であるが、従来のはんだ合金よりも強度特性に優れた、新しいはんだ材料による実装もまた有効な手段になりえると思われる。本稿では、はんだを使用する立場ではんだの高強度化を考えた時の要求特性と評価上の問題点、及びソニーで導入している高強度系のはんだ合金の特性について紹介する。はんだ接合部の信頼性向上を目的として、Wave Soldering対応型の高強度はんだ合金の開発を行い要求特性を満たす組成としてSnPbAgSbCuの5元合金について検討を行なった。本合金は、耐熱疲労特性、耐メカニカル疲労特性、高温クリープ特性、耐衝撃性、引っ張り強度のいずれについても、現行品より優れた強度特性を示し、はんだ接合部のトータルな信頼性向上に寄与するものと思われる。今後、市場品質への効果の定量化と市場故障モードと簡易評価法との相関性の検証が課題である。

○ MJS-136-97　　　　「高強度はんだ材料の信頼性特徴」
　　　　　　　　松下電器産業(株)　末次憲一郎

　近年、電子機器の小型化、薄型化が進展し、これに伴い接合部も微細化し、電子部品の発熱、冷却による温度変化によってクラックが発生するという問題点が生じている。このため、接合材料であるはんだ材料の信頼性がますます要望されてきている。また、環境への負荷を考え、鉛フリーはんだ材料の検討が行われ、これを用いた接合材料の高強度化が検討されている。さらに、PL法を配慮し、製品の10年保証に対する要望の高まりも見られ始めている。そこで本研究では、民政用電子機器において使用されている高強度はんだ材料の信頼性について、鉛フリーはんだ材料の信頼性と共に検討を行い。さらに、はんだ組織の観点から、高信頼性(10年保証対応)接合材料開発の考え方についての考察を行った結果、信頼性と金属組織とが大きな関係にあることがわかった。さらに、金属組織と物性との関係を詳細に検討を行い金属組織の微細化の制御を行うことにより、長期信頼性高強度はんだ開発の可能性があると考えている。

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