ソルダリング分科会　第34回

社	団	溶接学会
法	人	溶接学会

マイクロ接合研究委員会

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M J S　第３４回ソルダリング分科会

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日　時　　　平成14年10月2日　(金)　10:30～17:00
場　所　　　自動車会館　(東京　市ヶ谷)

【主題　ソルダペーストからナノ粒子まで】

○ MJS-206-2002　「微粒子の凝着理論とその現象」
　　　大阪大学　高橋康夫
　物体が小さくなると、体積に対する表面積の割合が増す。一般に、表面エネルギーgsが存在するので、付着・凝着挙動に対してこの硬化を考える必要が出てくり。特にその寸法がマイクロからナノオーダに減少するに従い、表面エネルギーの降下は顕著になる。そこで、微小粒子間および、著者が研究してきた金ワイヤ間の凝着（付着）接触挙動に関する基礎的な理論式の紹介を行い、金ワイヤ・金箔との常温凝着挙動を通して、微少物体の低温での凝着特性を検討した結果、微粒子の凝着接合挙動に関してはわかっていないことはまだ多く、これからの研究結果が待たれること、実験からは表面正常化に用いられるArイオン照射により表面があれるが、接合荷重が小さくても接触部にかかる応力が大きいことからつぶれることが示唆され、ナノレベルの対象ではその凹凸も塑性変形も考慮する必要がないと考えられることが報告された。

○ MJS-207-2002　「ナノ粒子とその応用」
　　　三菱マテリアル（株）　西原明久
　ナノ粒子として金属酸化物である半導体ナノ粒子と金ナノメタルを取り上げ、半導体ナノ粒子に関してはスズドープ酸化インジウム（ITO）粉末について導電材と光遮断材の二つの機能に注目し、当社開発品の特徴を述べる。特に光遮断材についてはITO粉末の表面改質により、赤外域のカットオフ波長を約200nm短波長側にシフトし、1250nmで近赤外線を100％カットした。この分野の用途は多く、例えば建物、自動車の窓ガラスに塗付して、太陽光の熱線を遮断し冷房効果を高める等が考えられる。応用例も含めて実際的な効果について述べ、金ナノ粒子に関しては、金コロイドが古くから装飾用として知られており、近年触媒用として世界的に注目されてきた。当社においても導電材として金コロイドの開発を行っており、表面改質等により均一な金ナノ粒子の分散液が得られ、現在配線材料用としての用途展開を図っているところであることが報告された。

○ MJS-208-2002　「金属ナノ粒子を用いた導電性ペースト」
　　　ハリマ化成（株）　上田雅行

　金属ナノ粒子の持つ重要な特徴として、焼結温度がバルク金属の融点よりも低くなるという現象があるが、表面活性が高いがために粒子を凝集させずにハンドリングすることが難しい。真空冶金㈱の独立分散超微粒子は特殊な分散剤で粒子の表面が覆われているため、安定した分散状態を維持する。この分散剤は高温で加熱することで物理的に除去できるが２５０～３００℃の高温が必要となる。我々はこの分散剤を化学的に処理する方法を確立した。ペーストを塗布時にはこの分散剤と反応せず、加熱硬化時に反応して除去するというものである（ナノペースト）。ナノペースト（銀）は硬化温度２００℃で８～２０μΩ・ｃｍの導通性が得られる。さらに硬化温度を２５０℃とすることで３～５μΩ・ｃｍまで改善し、かつ各種基材への密着性が十分に得られることを見出した。このペーストを用いてスクリーン印刷、インクジェット印刷用に粘度を調整し、微細領域へのナノペーストの適用について検討した。スクリーン印刷ではＬ／Ｓ＝２０／２０μｍの描画が可能となり印刷時のレべリング性にも優れている。また、インクジェット用としても５μｍ以下の超微細描画領域への適用が可能である。また、ナノ粒子を通常の銀粉と配合することにより（ハイブリッドペースト）、一般の銀ペーストの性能を大幅に上げることが可能となり、様々な用途への展開が期待されることが報告された。

○ MJS-209-2002　「高導電性の新材料　―　低温で粒子の融着を実現する　―」
　　　藤倉化成（株）　本多俊之

　導電性ペースト材料が登場したのは1950年代である。それ以来長年にわたって電子部品業界で使用され続けてきた。その導電性と硬化温度の関係はトレードオフにあった。低温硬化して、高導電性が発現する材料の開発は、常に課題であった。低温で金属並みの導電性を得る技術のブレークスルーがここ数年で各種発表されている。そこで、酸化銀の還元と有機銀化合物の分解を利用した新しいタイプの導電ペースト材料は従来にない原理で塗膜を形成し、その塗膜は従来技術で実現不可能であった低温での高導電性を実現することができたことが報告された。

○ MJS-210-2002　「微粒半田粉の製造技術について」
　　　三井金属鉱業（株）　森田正久
　　　神岡鉱業（株）　中原邦朗，関口誠

　回路のファインピッチ化に伴い接合材料としての半田粉は従来のサイズから微粒側にシフトする傾向がある。半田粉製造技術として現在、遠心噴霧、ガスアトマイズが中心に使用されているが他の製造方法の可能性についていくつかの検討を行った。結果としてコンファインドノズルによる平均粒径7μｍの微粒半田粉の製造が、コンファインドノズルで半田粉のガスアトマイズを行い10μｍ以下の粉が効率的に回収でき、一定ガス流量下での平均粒度とメルト流量の関係から溶湯ノズル径を選択することである程度の粒度調整が可能であり、適切な分級を行うことにより効率良く米国規格タイプ6の量産を行うことが可能になったことが報告された。

○ MJS-211-2002　「Sn-Zn-Alはんだの基礎物性」
　　　富士通（株）　北嶋雅之，庄野忠昭
　　　（株）富士通研究所材料　山崎一寿，野口道子

　官民一体となった鉛フリーはんだの適用推進により、Sn-Ag-Cuはんだを用いた製品が広く市場に普及してきた。しかしながら、現行有鉛はんだの全廃を達成するためには、部品実装温度の低温下が不可欠である。そのため、鉛フリー化も現段階では停滞気味であり、生産現場では新たな材料開発の要求が強い。当社においても、低温下の要求に応えるべく、Sn-Zn系はんだ材料の開発を継続してきたが、Cuメッキ基板上での接合信頼性などから実用化に至らなかった。すなわち、Cuメッキ基板上でSn-Zn-Bi系はんだを用いた接合界面を形成した場合、高温／低応力下で、接合界面の剥離が発生するという課題があった。今回、Cu接合界面での剥離発生メカニズムを解明し、さらに、従来Sn-Zn系はんだの欠点であった酸化性の高さを、Al（アルミニウム）元素の添加により改善し、Al添加量の最適化によりSn-Pb共晶はんだと接合信頼性および製造性において同等の性能を有すことが報告された。

○ MJS-212-2002　「Sn-Ag-Bi-In系はんだ接合技術」
　　　松下電器産業（株）　山口敦史，古澤彰男，末次憲一郎，和田義則

　これまで，リフロープロセス及びリフロー/フロー混載プロセスにおいて，低融点Sn-Ag系のはんだであるBi含有量が比較的少ないSn-Ag-Bi-Inはんだによりその接合特性の評価検討を行い，実用化を行なってきた．今回は，特に，最も低融点のSn-Ag-Bi-InはんだであるSn-3.5Ag-0.5Bi-8Inはんだを中心にその接合特性，すなわち温度サイクル試験，高温高湿試験及びリフロー/フロー混載プロセスでの再加熱が接合特性に与える影響について調べた．その結果，Sn-Ag-Bi-Inはんだの温度サイクル試験及び高温高湿試験後の接合強度変化は，Sn-Pb共晶はんだと同等であったが，Sn-3.5Ag-0.5Bi-8Inはんだは，温度サイクル試験及び高温高湿試験後に接合部の表面状態が変化した．しかし，それによるクラックの発生や接合強度への影響はなかった．また，リフロー/フロー混載プロセスにおける再加熱された接合部界面の剥離は，Bi含有量が比較的多い，Sn-3Ag-2.5Bi-2.5Inにおいて観察された．Sn-3Ag-0.5Bi-8Inはんだについては，微小剥離の発生が確認されたが，温度サイクル試験による微小剥離の進行性はなかった．これらからSn-Ag-Bi-Inはんだの接合信頼性はSn-Pb共晶はんだと同等の実力を持つと言え，鉛フリー実装プロセスの実用化を加速させる有効な材料となることが報告された。

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