マイクロ接合研究委員会　第53回

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マイクロ接合研究委員会

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M J 　　第５３回　マイクロ接合研究委員会

			第５２回	第５４回

■ MJ-297-97・・・ＢＧＡパッケージの信頼性と最適構造化

于　強(横浜国立大学)

　半導体製品開発の動向は小型化、高密度化・大集積化であり、この相反する要求を満たすために次々と新しい表面実装技術の導入がはかられてきた。それとともにこれまであまり問題となっていなかった疲労強度上の信頼性問題が新たに取り組むべき課題として浮かび上がってきた。その問題点の中で今最も注目されている1つが、BGAはんだ接合部の熱疲労の信頼性評価である。本報では有限用作法による応力ーひずみ解析及び機械的疲労試験を行い、BGAはんだ接合部の疲労強度評価則について検討した。さらにBGAアセンブリの強度設計を行うために、著者らのグループによって提案された統合的設計支援システムを用い、はんだ接合部の非線形ひずみ振幅を簡易に求めるためにその推定式を求めた。最後にその推定式の使用例として、はんだ接合部の最適化計算を行った。

■ MJ-298-97・・・チップ部品のはんだづけ高寿命化の検討　－温度サイクル下でのフィレット形状と熱歪み量の関係の解析－

中井智之，阪本智朗，別所聖文，平野正夫(オムロン㈱)

　近年、電子機器の小型化が進んでいる。とりわけ産業用のセンサ機器は市場からの小型化の要求が強い商品である。小型部品の採用やCOBの採用により、センサの小型化を進めてきたが、はんだフィレットを小型化するところまできている。はんだフィレットは、はんだづけ信頼性に関するものであり、従来から慣習的にフィレット高さや体積量でそのはんだ付け品質良否を判定してきた。しかし、はんだフィレット形状とはんだづけ信頼性との関係が明確でなかったため、フィレットを小型化する上で信頼性上の判定ができず、小型化を進めることが困難であった。例えば、部品を小型化することは、部品基板間の熱膨張率差で発生する熱歪みが小さくなるので、望ましい方向であるが、相対的に機械的強度も低下するので、市場で与えられるストレスに対して、寿命設計の観点からフィレット形成を見直しておく必要がある。そこで、フィレットの形状とはんだづけ信頼性との関係を検討した。

■ MJ-299-97・・・電子デバイスはんだ接合部の熱サイクル試験方法

上貝康己，谷　周一(三菱電機㈱)

　電子デバイス実装基板のはんだ接合部に対する信頼性評価法として、実装基板の熱サイクル試験が実施されている。一般に試験は設計温度条件よりも温度範囲、最高温度及び温度の変化速度を加速した条件で実施され、これにより試験の加速化が図られている。従来の加熱サイクル試験条件は、実使用条件を考慮して定めておらず、経験に基づいた条件とされる場合が多い。しかし、加速試験で得られた接合部の熱疲労寿命が幾らになれば、設計条件を満足するのかといった点を明確にすることは、適切な接合部設計を実施する上で急務である。また、電子デバイスの加速試験は多数の同一サンプルについて実施され、はんだ接合部の疲労寿命の確率分布を取得されている場合が多いが疲労寿命の分布データを有効に利用した信頼性評価の考え方を整理した例は少ない。本研究では信頼度と信頼水準の考え方を導入して、試験サンプル数の影響を考慮した電子デバイスはんだ接合部の加速熱サイクル試験条件の設定方法についてしめす。設計条件及び加速熱サイクル試験での温度条件とサンプル数を設計者が定める値として取り扱い、加速熱サイクル試験における必要サイクル数を求める手法を示し、さらに、加速試験で得られた接合部寿命の設計条件に対する合否の考え方について示した。

■ MJ-300-97・・・表面実装LSIの熱ストレスからみたはんだ付け方法の体系化の検討

田中政樹，岡田幸二(㈱日立製作所)

　プラスチック系表面実装LSIは高密度実装が可能なことから広く普及しており、赤外線リフロー方式などのSMD全体が加熱される全体加熱方式ではんだ実装されている。しかし、SMDは室内保管中に吸湿し、その水分が実装時の熱で気化膨張するため、パッケージクラックを起こす問題が知られている。従って、半導体メーカは、それに対応したはんだ耐熱性試験を事前に実施し、SMD毎の耐熱性を確認してきた。はんだ耐熱性試験は、保管時の吸湿を再現するための加湿処理、実装時の熱を加える加熱処理、パッケージクラックなどの確認のための測定から構成され、日本電子機械工業会規格EIAJED-4701-2などに標準化されている。しかし、その中の加熱処理には複数のはんだづけ方法があるため、処理の面での問題があった。本報告では、その問題解決のため、SMDの種類毎に各はんだづけ方法の熱ストレスを体系的に整理し、加熱処理の合理化を検討した結果について述べる。

■ MJ-301-97・・・導電性微粒子の電気特性評価

土谷雅弘(積水化学工業㈱)

　電子機器の小型軽量化に伴い、電子部品・ＩＣパッケージの小型化、ファインピッチ化が急速に進んでいる。たとえば、パームトップパソコンや、携帯通信端末機器などの最先端の電子機器には、フリップチップ実装が実用化されつつある。従来、電子部品の接続は、そのほとんどが「はんだ接合」によるものであった。しかし、近年の電子部品のファインピッチ化に伴うブリッジの問題や低温接続の要求、また、鉛やフラックスの環境問題から、はんだに変わる接続材料として異方性導電フィルムや異方性導電ペーストといった樹脂系接合材料が注目されている。これまで、導電微粒子は、液晶ディスプレイ実装向けの材料として位置づけられ、その電気特性は粒子群の接触抵抗値で代用してきた。しかし、樹脂系接合部が一般実装用途として検討されている今日特にファインピッチ化の要求に応えるための高性能接合材の設計をするためには、導電微粒子の電気特性は従来の測定方法では不十分となり、単粒子での評価が必要となってきた。そこで我々は、導電微粒子単体の接触抵抗値及び電流容量を測定するシステムを開発し、電気特性評価を行ったので報告する。

■ MJ-302-97・・・オンチップ銅配線セルフアラインパッシベーション技術

粟屋信義，小林敏夫(㈱NTT)

　SiLSIにおいて、配線に於ける信号遅延を低減するため、従来のアルミニウム配線に変わり、オンチップ埋め込み銅配線が検討されている。その技術的課題である銅配線の耐酸化性及び絶縁膜との密着性を向上させるための手法を提案する。銅配線表面への銅-アルミニウム金属間化合物の形成と絶縁膜上の未反応アルミニウムのウェットエッチング除去、及び水素酸素混合ガス中での熱処理による金属間化合物中のアルミニウムの選択的酸化を用いて銅配線表面のセルフアラインパッシベーション技術を試み、その有効性を確認した。本方法はSiプロセスにおいてなじみの深いアルミニウムをパッシベーション材料として用い、350℃という低温の処理で、抵抗値を上げることなく、容易に銅配線表面の耐酸化性の向上を実現し、また上層に堆積する絶縁膜との密着性を高めることができた。本方法を0.25mmCMOSの銅配線に適用し、回路の正常動作を確認した。

■ MJ-303-97・・・Pbフリーソルダの米国特許調査報告－リードするアメリカ合衆国－

江田忠弘(㈱リコー)

　鉛フリーはんだが、特許の名称に使われるようになって8年が経過した。鉛の法的規制を加える動きがある。そろそろ研究段階から実用化に移す時期である。電子機器の設計は、はんだの性質と特許が気になる。J.Glazerは、鉛フリーはんだの特許が2～3年以内に出てくると予想してる。もうその時期は来た。はんだの特許は、定期刊行物で扱っているが、日本特許のみである。そこで実用化の一つとしてアメリカ特許を調べた。結果は、合金の特許が出そろった。めっきは、開発が終わっていない。

■ MJ-304-97・・・各種レーザ加工の微細化の現状と課題

渡部武弘(千葉大学)

　レーザ光は単波長性に富み、指向性も良いため微小点に集光することが可能である。このため、微細加工に適した工具ではあるが、微細加工性はレーザ光と材料との干渉時間、及び、ピークパワー又はパワー密度に大きく左右される。微細加工を行なうためには、ビーム品質の良いレーザ光を短時間だけ材料へ照射する必要がある。図１は各種レーザ光の平均出力とピーク出力との関係を示したものである。高平均出力のＣＯ２レーザやＹＡＧレーザはピークパワーが低く、パルス幅も長いため、微細加工には適さない。一方、ＥＯ－ＱＳ－ＹＡＧレーザ、ＴＥＡ－ＣＯ２レーザ、エキシマレーザはピークパワーが高く、パルス幅も数百ｎｓ以下にすることが可能で、微細加工が可能となる。そこで本報では、微細加工に適した高輝度・短パルスＹＡＧレーザを中心としたか高齢を紹介するＣＯ２レーザも短パルス化したレーザ光やＴＥＡ－ＣＯレーザを用いることにより微細加工は可能である。エキシマレーザも短パルス発振のレーザ光が得られるため基本的には微細加工用のレーザ光である。

■ MJ-305-97・・・プリント基板のレーザによるビアホール形成技術

竹野祥瑞，森安雅治(三菱電機㈱)

　携帯電話・パソコン等、近年の情報通信機器を中心とした電子機器の小型計軽量・高機能化の進展にともなって、プリント配線板（以下ＰＷＢ）の高密度化が加速されつつある。これに対して、ＰＷＢの製造方法は、銅箔を貼り付けた厚さ200mｍ程度の配線板を多層に積層してφ300mｍ程度の信号接続用貫通穴（スルーホール）で層間を接続する従来の積層型から、φ150mｍ以下の信号接続型用とまり穴で（ビアホール）で厚さ100mm以下の層間を接続ビルドアップ方に変化しつつある。ここでは、このビルドアップ型ＰＷＢビアホール形状へのレーザ穴あけの適用で紹介する。

■ MJ-306-97・・・微細放電加工装置と加工例

青木新一郎，佐藤健夫，山口恵作，高畑憲一(松下技研㈱)

　マイクロマシン実現に向けて二つの開発トレンドがあると考えられる。一つは、現在実現されている機構部品のダウンサイジングによるミリからサブミリにかけてのメカニズム開発であり、もう一つは、半導体製造技術を利用した数百ミクロン以下の高集積、高機能メカニズムあるいはデバイス開発である。これらに代表されるマイクロマシン実現のためには、微細な三次元形状を加工する技術が不可欠である。この加工技術の一つにマイクロ放電加工がある。本稿では、マイクロ放電加工について加工応用例を交えながら、その特徴、将来性について述べていく。

■ MJ-307-97・・・超精密切削加工と精密位置決め装置

社本英二，森脇俊道(神戸大学)

　近年、様々な特徴を持つ超精密位置決めおよび送り装置が開発され、超精密工作機械や計測機器、あるいは半導体関係の製造装置など多くの分野にわたって利用されている。その中でも、特に高分解能、高剛性が必要とされる装置には、圧電素子がアクチュエータとして用いられることが多い。これは圧電素子が多くの長所を持つためであるが、ストロークが極めて小さい事が最大の短所だと言われている。この短所を補うため、粗動用アクチュエータとの組合せ方式、尺取り虫方式、圧電素子の急速変形を利用する方式などが考案されてきた。しかし、これらの手法ではなめらかな動作が困難であり、特に後二者では本質的に連続的な動作が不可能であることから、例えば工作機械の送り動作など、超ストロークにわたる軌跡制御を行なうには問題が生じる。そこで本研究では、圧電素子の高分解能、高剛性などの長所を生かし、さらにストロークのなめらかな駆動を可能にする方法を創案した。この手法は、人や犬、くも、むかでなどの多くの動物の歩行動作に類似しているため、本研究ではWalking Driveと呼んでいる。動物の歩行動作を観察すると、足のストロークには制限があっても、胴体はなめらかにかつ無限に移動する事ができる。これと同じようにして本手法では、圧電素子などの微小変位を利用してなめらかな長ストロークの駆動を行なう。本報では、Waling Driveの基本的な駆動原理と、実際に開発した駆動装置ならびにレーザフィードバック制御による超精密位置決めシステム、ＸＹΘテーブルへの応用等についてまとめている。

■ MJ-308-97・・・プレスされるリードフレームの周辺材料の管理技術

中沢　清(新光電気工業㈱)

　電子機器の小型化軽量化は、半導体素子の飛躍的な高集積化技術の実現により、急速に進歩してきている。その進歩にともない、ウエハプロセスが超ＬＳＩへの急速な進展や小面積内での多機能化への進展を果たしてゆくにつれて、高密度化のためのより小型のパッケージ、高集積化、多機能化のための多ピン化などが存在する。リードフレームは半導体のパッケージ構成材料の１つとして位置づけられており、微細プレス加工の応用製品であるそのリードフレームは、ピン（リード端子）数が増加すると同時に、LSIとの接続部分（リード先端部）のピッチは、ワイヤーボンディングの最短ピッチに合わせて微細化が進む、100μｍ、80μｍと狭まってきている。しかし、そのリード先端位置をの要求精度が一段と厳格になってきている。これはワイヤーボンディングを自動認識の高速ボンダーでおこなうことからの要請で、このためのリードフレームの打ち抜き断面のか加工済みに起因するリード位置精度の低下が問題になっている。したがってリードフレームの素材には、打ち抜かれたリードフレームに発生する加工歪みの少ない特性が求められる。ＷＣ－Ｃｏ合金は、優れた特徴を持っていくことが知られており、これまで機械的強度について、ＷＣ粒度・Ｃｏ濃度・添加材・試験状状および試験片の加工面の成敗状などの影響について論じられているが、金型パンチがＷｃ－Ｃｏ合金に求める機械的強度ぬついて論じられていた例はすくない。そこでこれからの問題を解決するためにリードフレームの素材、リードフレームの加工歪みを加工歪みで除去する熱情報理情報技術、金型パンチ材料に求められる特性について、調査研究したことを報告する。

■ MJ-309-97・・・X線縮小投影露光技術(EUVL)の現状と課題

木下博雄(姫路工業大学)

　1970年に1kビットDRAMの生産が開始されて以来、集積度は3年に4倍の速度で増大しており西暦2000年には1GbitのDRAMの生産が予想されている。リソグラフィ技術は技術的には等倍転写から縮小転写へと、そして光源の波長がG線からi線、KrFと短波長化をたどってきている。このように露光波長を短くすることによって、また、種々の新しい技術の導入によって光でも0.18mm程のパタンを持つデバイス設計の可能性が明らかになってきている。しかしながら、その先の微細化技術は未だ混沌としており、ArFを光源とする露光法も光学材料、レジスト材料等の制約が大きく光に変わる新しいＸ線によるリソグラフィ技術の開発が急ピッチに進められている。Ｘ線縮小投影露光法(EUVL)は0.1mm以降のリソグラフィ技術として期待されている。この技術は、原理的には紫外線縮小リソグラフィと同じであり、屈折レンズのかわりに軟X線領域で高い反射率をもつ多層膜をミラー面に形成した反射光学系を用いることを特徴とする。この方式は縮小露光法式であるためにマスクに4唐倍の拡大マスクを用いることができ、かつそのマスクには多層膜を形成したバルクの基板を用いるためSR照射による熱歪み等の影響を無視でき、高精度なパタン位置精度を確保できる。また、理論的には短波長化と高NA化とにより解像度を無限に小さくでき、0.1mmから0.01mmまでのパタン形成も可能である。本報では最近の本技術の現状と今後の課題について報告する。

■ MJ-310-97・・・シリコンの異方性エッチング

小出　晃(㈱日立製作所)

　近年、計測や光通信の分野を中心に、ICやLSI等の半導体加工技術を用いて加工した微小な機械素子（マイクロマシン）が注目されている。マイクロマシンはMEMS（Micro Elector Mechanical System）やMST（Micro System Technologies）とも呼ばれ、半導体加工技術を用いることから、１）小型化、２）回路との一体成形による高精度化、３）大量生産による低価格化、等が期待されている。マイクロマシンの加工ぎじゅつはの一つに短結晶シリコンの異方性エッチングがあるが、電子回路の加工技術であるため、孔や溝といった単純な加工は高精度に行えても機械素子に求められる３次元加工は困難で、適用分野が限定される欠点がある。本研究では、この電子回路の加工技術を機械素子の加工技術とするため、１）加工プロセス設計支援用異方性エッチプロファイル解析ソフトの開発、２）解析ソフトを用いた三次元加工プロセスの開発、を行い、シリコンの３次元加工を可能とした。

■ MJ-311-97・・・エレクトロニクスにおけるフォトアプリケーション技術の現状と課題

加藤凡典(エー･アイ･ティ)

　パソコンの急成長とＤＲＡＭの高価格に支えられてきた半導体産業もここ一年半でその様相が大きく変わりつつある。　インテルやランバスに代表されるデファクトスタンダード化によりその競争内容も変化しつつある。半導体の製造については低コストを目差し、ウェハの300ｍｍ化が促進され、0.2mmミクロンを切るデザインルールの技術確立が急がれている。　またこの半導体を実際の製品に搭載するためのパッケージジングやアセンブリも従来技術からの脱皮が進行中である。　フォトアブリケーション技術はこの半導体製造、パッケージング、アセンブリに広く用いられている。このフォトファブリケーション技術についてリードフレームや新パッケージを例に取りながら現状と課題をまとめてみることとする。

平成9年度配布資料一覧

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