マイクロ接合研究委員会　第54回

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M J 　　第５４回　マイクロ接合研究委員会

			第５３回	第５５回

■ MJ-312-98・・・LSI用高信頼性配線形成技術－特に高アスペクト比
　　　　　　　　　　　微細コンタクト/ビアホールへの配線形成について－

大貫　仁，二瓶正恭，小泉正博(㈱日立製作所)

　LSIの高集積化、メモリサイズの小型化に伴い、配線寸法もより一層の小型化が要求されている。一方、デバイスの性能向上の立場から、LSI配線膜及び層間絶縁膜の厚さは寄生容量及びキャパシタンス等の低減のため、一定に保つ必要がある。これらの要求から、0．2－0．3ミクロンレベルのデバイスでは、コンタクトホール及びビアホールのアスペクト比は3．0以上にも達する。しかし、従来から行われてきた通常のスパッタ技術ではこれらの高アスペクト比のホールに信頼性の高い配線を形成することはきわめて難しい。したがって、ULSIでは、高アスペクト比の微細コンタクト/ビアホールへの金属膜の穴埋め及び平坦化技術が益々重要になってくる。著者らはスパッタリングとバイアススパッタリングを交互に行うスイッチングバイアススパッタリング技術を開発し、比抵抗、結晶粒径及び耐エレクトロマイグレーション性等から判断して品質が良く、カバレージの高いAl，W等の膜を形成できることを明らかにした。今回は上述した穴埋め技術をレビューするとともに新しく開発したスパッタリング技術を用い、アスペクト比3．5程度のクオーターマイクロンクラのコンタクト/ビアホールにどの程度のステップカバレージで遷移金属膜を形成できるかについて、その際、実用上極めて重要な膜形成速度についても述べる。

■ MJ-313-98・・・化合物半導体用デバイスの電極材料開発

村上正紀，小出康夫(京都大学)

　化合物半導体はSi半導体と異なった半導体特性を持ち合わせているため、Siでは実現不可能な種々なデバイスに応用されている。特にここ2、3年の間、マスコミを賑わせている光の3原色を発する発光素子や高温環境で操作するデバイスにはワイド・エネルギー・ギャップ化合物半導体が用いられ、この市場にはSiは介入できない。真に化合物半導体の独壇場である。これらのワイド・ギャップ化合物半導体の材料学上の長年の課題は欠陥密度が少なく、キャリア密度の高い高品質の半導体基板の作製と高性能の電極（オーミック・コンタクト）材料の作製である。前者の半導体基板作製については各企業で幅広く研究され、実用段階にまで達しているものが多い。一方、後者のオーミック・コンタクト材開発については、系統的な研究は少なく、”試行錯誤的に” 開発されている状態である。近年は特に青色半導体レーサ素子としてエネルギー・ギャップが3eV近辺の直接遷移型半導体の応用が脚光を浴びている。これらのワイド・ギャップ化合物半導体にはZnSe系及びGaN系が最も有望であり、青色発光を期待しつつ、現在まで基板成長に長年の歳月が費やされた。1991年にZnSeレーザ、1996年にGaNレーザのパルス発振が達成され、長年の夢が実現される糸口が見出された。しかし、LD実用化には多くの材料上の問題点が残されている。その中でもp型ZnSeとp型GaN用のオーミック・コンタクト材開発研究は非常に遅れており、高性能のオーミック・コンタクト材の不在が青色半導体レーザの実用を抑制していると言っても過言ではない。今回の講演ではp型ZnSe及びp型GaNのオーミック・コンタクト材の開発の現状と課題について述べる。まずはオーミック・コンタクトとは何か？を説明するために金属と半導体界面の電流輸送機構について説明し、コンタクト材の理想的な接触界面構造と作製法について説明する。次に各種半導体のオーミック・コンタクト材料の開発段階について解説し、理想的なコンタクト材が作製された実例として、 n型GaAsのコンタクト材開発についての最近の研究を中心に解説する。 p型 ZnSe及び GaNのコンタクト材の開発現状と課題については学術的及び実際上の観点から述べる。

■ MJ-314-98・・・赤外線リフロー炉内におけるプリント配線板の熱解析について

内田浩基，作山誠樹，名取勝英，河原田元信(㈱富士通研究所)，赤井礼治(㈱富士通)

　赤外線リフロー炉において、プリント板の加熱状態を定量的に把握し、熱ストレスを抑えた最適な温度プロファイルの設定など信頼性の高いはんだ付けを支援する手段として、赤外線リフロー炉内におけるプリント板の熱解析方法について検討した。その結果、赤外線リフロー炉内の熱解析を行うのに最適な輻射計算方法として、Planckの法則を用い、ヒーターや基板・部品の輻射特性を1μm以下の波長幅に分割して、非灰色体計算を行うことで、各々の輻射特性を考慮できる計算方法を見出した。また、赤外線リフロー炉内のヒータとプリント板の間の形態係数の時間変化や、炉内壁面で反射する輻射エネルギの影響などを考慮した最適な輻射の計算モデルを見出した。これらの結果を踏まえて、赤外線リフロー時のプリント板の熱解析ソフトを作成し、解析結果と実験結果を比較したところ、解析値の誤差は±5％以内（200℃の温度上昇に対して±10℃以内）であり、良い精度で解析できることがわかった。更に、この解析技術を用いることで、これまでは推測あるいは実測でしか得られなかったプリント板全体や搭載した部品周辺の加熱状態を詳細に把握できる。

■ MJ-315-98・・・Au-Al固相拡散フリップチップ実装技術
　　　　　　　　　　　－金属間化合物の組成制御による接合安定化に関する研究－

森　三樹，福田由美，木崎幸男，飯田敦子，斉藤雅之(㈱東芝)

　Al配線を有する基板に、Auバンプを備えたICを熱圧着することにより、AuとAlの拡散層を形成し、一括接続するAu－Al固相拡散フリップチップ実装における金属間化合物の組成制御による接合安定化に関して報告する。AuバンプとAl配線の固相拡散接合では、生成する金属間化合物が、Au4Al、Au5Al2、Au2Al、AuAl2であること、十分に固相拡散反応が進行する条件ではAu4Alが形成されて平衡状態に達することを示した。さらに、接合信頼性の違いは、接合により形成される界面状態の違いに帰着されること、すなわち、固相拡散反応に局所的なばらつきがある、接合界面に未反応のAlが多量に残存している、AuとAlの存在比率に見合った最終生成物になっていないなどのように固相拡散反応が非平衡状態のうちに接合が終了する場合、高温雰囲気での金属間化合物の変化や成長の過程において接合界面にクラックが生じることを示すとともに、界面の固相拡散反応がほぼ平衡状態に達し、Au4Alが支配的になる形成される条件で接合した場合、信頼性の高い接合が得られることを明らかにした。

■ MJ-316-98・・・微細接続用異方導電フイルム

藤縄　貢，渡辺伊津夫，小林宏治(日立化成工業㈱)

　異方導電フィルムは、液晶ディスプレイの回路電極とTCPの回路電極が一括接続可能な接続材料として開発され、液晶ディスプレイのファイン化、カラー化、大型化の動向に合致した改良と共に発展してきた。さらに近年では、液晶ディスプレイの実装分野での従来のはんだに代わるTCPの回路電極とプリント基板の回路電極の接続や、フェースダウンボンディング方式によるICチップ接続技術であるフリップチップ実装分野においてもCOG等として異方導電フィルムの実用化が進んでいる。ここでは、異方導電フィルムの接続原理、TCPの回路電極とプリント基板の回路電極の接続における接続信頼性及び電気的接続と絶縁性保持の機能分離を図った二層方式によるファイン化検討について紹介する。

■ MJ-317-98・・・導電性接着接合－強度に及ぼす表面の影響－

池田治彦，鎌田信雄(㈱村田製作所)

　鉛フリーはんだの研究開発と平行して導電性接着剤の研究が盛んに行われている。導電性接着剤接合は、はんだ接合に比べ接合温度が低い、無洗浄、鉛フリー接合等と言った長所がある反面、材料コストが高い、接合強度が低いと言った短所も有する。しかし、異方導電フィルム（ACF）は液晶パネルの接続に用いられる等用途を限定しての利用は進みつつある。そこで本研究では、部品の外部電極の表面処理が接合強度に及ぼす影響を把握するために、銅片に各種メッキを施してその間に導電性接着剤を挟み込んで接合させた後、引張せん断試験を行い接合強度に及ぼすメッキの種類及び表面粗さの影響について調べた。その結果、次の事がわかった。1.被接合材の表面を多孔質状に荒らすことにより強度が増加する。これは、アンカー効果によるものと思われる。2.Ni，Au，Cu，Snメッキの中ではNiメッキ品のせん断強度が強かった。これは、Niメッキは他のメッキより表面エネルギが高いため接着剤が良くぬれたためと考えられる。また、今後の課題としては 1.はんだより強度が高いものがあるが、その接合メカニズムの解明。 2.耐環境試験後の強度変化の把握。 3.チップ部品の外部電極を実際に処理した場合との相関関係の把握である。

■ MJ-318-98・・・プリント配線板の信頼性評価方法の検討

田中浩和，猪木寛子，青木雄一，山本繁晴(タバイエスペック㈱)

　プリント配線板の絶縁性、接続性劣化は電子機器の誤動作などに限らず、発煙・発火など安全性の面からも信頼性確保は重要であり、その信頼性評価方法として様々な試験方法が検討されている。プリント配線板の絶縁性評価方法として結露に着目し、一定量・一定時間の結露と乾燥を繰り返す結露サイクル試験方法および試験方法を開発した。この試験器を用いることにより、イオンマイグレーション現象によるデンドライトの発生が評価でき、その試験結果には再現性があった。また、結露とデンドライト発生要因を解明するため各種実験を行った。その結果、結露の繰り返しがプリント配線板の表面に変化を与え、その履歴が累積し結露による水が濡れ易い状態になり導体間を覆うことによって、短時間にデンドライトが進行し絶縁劣化に至る機構を確認した。一方、接続性評価方法として、温度サイクル試験中のプリント配線板の連続特性評価方法を考案した。従来、ハンダ接続性評価などは初期値と試験後の測定値を比較する定常測定方法が一般的であった。ところが、この従来の方法では、ハンダクラックなどに代表される連続動作中における瞬間的な接続性劣化によって起こる機器の誤動作や、ある条件下のみに発生する特性劣化や故障を確認することは困難である。本試験方法により、従来の試験方法では確認出来無かった温度変温時や高温時の特性劣化を確認でき、故障メカニズムの解析と故障要因の早期発見という点から有効な方法であることが確認できた。本報告では、プリント配線板の信頼性評価方法として、結露サイクル試験、温度サイクル試験時の連続評価方法について検討結果を報告する。

平成10年度配布資料一覧

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