マイクロ接合研究委員会　第59回

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M J 　　第５９回　マイクロ接合研究委員会

			第５８回	第６０回

■ MJ-348-99・・・超多ピン半導体パッケ－ジ用実装基板

下戸直典，菊池　克，松井孝二，嶋田勇三(日本電気㈱)

　高性能なロジック系チップではＩ／Ｏピンの増加が急速に進んでおり、これらのパッケ－ジング用実装基板には非常に厳しい高密度微細配線化が要求されている。この要求に応えるため、我々は新しい高密度ビルドアップ実装基板技術、ＤＳＯＬ（Deposited Substrate On Laminate）を開発した。ＤＳＯＬには以下の優れた特徴がある。１）耐熱性（Ｔｇ２３０℃）、電気特性（誘電率３．２）などに優れ、かつ特にヴィア解像度に優れた新規な感光性絶縁樹脂、フルオレン系樹脂を層間絶縁膜に適用した。アスペクト比１．０以上の高アスペクト比かつ微細なヴィアを容易に形成することができ、実装基板の高密度化にきわめて有効である。２）歩留まりと信頼性に優れた微細Ｃｕ配線形成のため、薄膜給電層形成にスパッタを用いたセミアディティブプロセスを適用した。ライン／スペ－ス= １０μｍ／１０μｍの微細配線形成を実現できる。３）既存のビルドアッププリント基板の生産ラインをそのまま適用することができ、コストパフォ－マンスに優れる。さらに我々はＤＳＯＬを用いることにより、４０００ピンを有する最先端ＡＳＩＣチップのパッケ－ジング用基板を開発した。

■ MJ-349-99・・・ビルドアップ法プリント配線板の製造目的としたエポキシ系感光性樹脂のスルホン化を利用する
　　　　　　　　　　　ダイレクトプレーティング

今成眞明，清田　優（日本リーロナール㈱），縄舟秀美，水本省三（甲南大学），新居啓二（富士通㈱）

　ビルドアップ法プリント配線板の製造を目的とした、熱硬化型液状エポキシ樹脂および感光性エポキシ樹脂のスルホン化を利用する新規なダイレクトプレーティング法について検討した。熱硬化型液状エポキシ樹脂は、硬化後、KMnO4/NaOH水溶液にて粗面化し、硫酸処理することにより、エポキシ樹脂表面にカチオン交換基であるスルホ基が導入された。硫酸濃度、浸漬時間、処理温度の増大とともに吸着銅イオン量が増大し、60℃の14M硫酸に15min浸漬することにより、スルホン化したエポキシ樹脂表面には1300nmol/cm2の銅イオンが吸着した。還元処理により形成された銅薄膜の表面電気伝導率は、0.1S/m2以上（表面電気抵抗率10W/m2）であった。この銅薄膜上に、酸性硫酸銅浴からの直接電気銅めっきが可能であった。電気銅めっき後、銅薄膜－樹脂間の最大ピール強度は1 kgf/cmに達した。感光性エポキシ樹脂では、予備硬化後、14 M硫酸処理により、エポキシ樹脂表面にカチオン交換基であるスルホ基が導入された。硫酸濃度、浸漬時間、処理温度の増大とともに吸着銅イオン量が増大し、70℃の14M硫酸に30min浸漬することにより、スルホン化したエポキシ樹脂表面には2000nmol/cm2の銅イオンが吸着した。還元処理により形成された銅薄膜の表面電気伝導率は、0.004S/m2（表面電気抵抗率250W/m2であった。この銅薄膜上にも、酸性硫酸銅浴からの直接電気銅めっきが可能であった。本法は、絶縁樹脂表面に低抵抗の導電性薄膜を形成でき、電気銅めっきの被覆性も良好であり、銅エッチングにより回路形成した後の樹脂表面にパラジウムのような難溶性物質が残留しないことから、ビルドアップ法プリント配線板の新規な製造方法として十分期待される。

■ MJ-350-99・・・３次元実装パッケージ用テープインターポーザの開発

平出重雄(ノース)

　半導体パッケージ形態としてCSP・BGA・WLPに続き、Chip若しくはPKGを積層する3次元実装パッケージが注目されている。積層する事により、2次元方向のShrinkの限界を超えた高密度実装が可能になる。有名な商品化例としては、Sharp社の「Stacked CSP」であり、既に2Chips若しくは3Chipsを積層し携帯電話に用いられている。今後の3次元実装パッケージの市場は、Flash Memory Card等の小型薄型化と共に大容量を求められる用途に注目が集まる。Toshiba社は1999年当初より、Chipの薄型化技術の取り組みを発表し、50μmtまで切削したChipをPKG厚130μmtで組立、4段積層する概念を発表し、近日この技術をFlash Memory Cardで製品化すると言われている。弊社では、3次元実装パッケージを単に実装面積の優位性だけでなく、「System in Package」の概念を念頭に置いたTape Interposer「NMTI（Neo-Manhattan Tape Interposer）」の開発を進めており、今回その技術概要とPKG製品化例をご紹介する。先ず、製品構造としては、従来あるTABタイプのTape Interposerに対し、回路を保護するPolyimide Cover Layerを一層追加し、更に外部端子となるBGA用半田ボール若しくはLGA用High Bumpを予めTapeに装備する。Polyimide Cover Layerの追加により、Handling性の向上だけでなく、導電性Bond剤の選択が可能となり、ACFやElastomerの密着性向上も期待される。外部端子については、Cuの台形型で形成した100μmt以上の高いBumpを装備し、BGA用半田ボール時はHard-coreとしてクラックを低減し接続信頼性を向上させ、LGA用High Bump時は実装性の向上も期待される。こうした構造のNMTIを用いたPKGとしては、Wire Bond CSPやFlip Chip CSP、Flip Chip MCPへ適用可能な他、High Bumpを上下のPKGの接続端子とした3次元実装PKGに最もその特徴が生かされる。

■ MJ-351-99・・・CREO社製レーザ直接描画システム

西原　修（日立ビアメカニクス㈱），荒井雅嗣（㈱日立製作所）

　近年，携帯電話やパソコン等の電子機器に用いられているプリント配線板(PCB：Printed Circuit Board)には，より微細な配線パターン，製造コストの低減並びにスループットの向上が要求されている。このような背景から，日立ビアメカニクス(株)では，Creo Ltd.が開発したレーザ直接描画システムを販売している。レーザ直接描画システムは，レーザ直接描画装置，液状レジスト及びディップコータから構成される。レーザ直接描画装置は，基板を固定し高速で回転するドラムとドラムの軸と平行に低速で駆動するレーザヘッドから構成し，レーザ光の波長は赤外(IR)の810～900nmで，数100本の平行ビームとなっている。また，レーザスポットは5μmの角型となっており，直線パターンを高精度で描画することができる。液状レジストは，レーザ直接描画装置とマッチングするように特別に開発されたもので，ポジ型で熱的に反応する特性をもっている。ディップコータはバッチ処理にてレジストのコーティングから乾燥までを自動で行うもので，ディップコータ内はクラス1000のクリーン度に対応している。以上のような構成のレーザ直接描画システムでは，レジストの厚さの変化に対してもパターン変動幅が小さく，最小ライン幅20μm，エッジシャープ性±2.5μmの高品質パターンを形成することができる。また，CAMデータから直接配線パターンを描画できるので，マスク作成の時間を省略でき，配線パターンのデータ変更が容易で，かつデータの管理も非常に容易になるため，製造コストを大幅に削減することができる。今後，レーザ直接描画システムは，内層基板などの生産装置の主流をなすものと考えている。

■ MJ-352-99・・・フリップチップ実装用ビルドアップ配線板微細抵抗接合の特質と電子部品・機器の接合への適用

小林和貴，竹元啓一，服部篤彦，飯島隆廣(新光電気工業㈱)

　半導体のデザインルールは0.25mmから0.18 mmへシュリンクし、高性能化と低コスト化が進んでいる。半導体パッケージにおいても、狭ピッチのフリップチップ対応および配線層数低減のために微細化が求められている。本稿ではフリップチップ実装用ビルドアップ配線板において、ライン幅20μm、スペース幅20μmの形成および電気めっきによるフィルドビア形成について検討した。サブトラクティブ工法とセミアディティブ工法で櫛形配線を形成し、配線厚と、最小配線間スペース幅および配線幅ばらつきを調査したところ、セミアディティブ法で配線幅/スペース幅＝20μm/ 20μm、配線幅の標準偏差が1μmの配線を形成できることがわかった。まためっき液の電位-電流曲線を最適化し、ビアのボトムからの優先的なめっき析出によってフィルドビアを形成することができた。また、フィルドビアを垂直に重ねたスタックビアについて熱応力解析を行い、樹脂物性がフィルドビアの導体中に発生する応力に大きく関与していることも明らかにした。

■ MJ-353-99・・・活性金属銅回路基板

那波隆之(㈱東芝)

　パワー半導体部品は一般に数百アンペア、数千ボルトの領域で使用されるため、半導体チップが搭載される実装用基板に対しては高い放熱性と電気絶縁性が要求されることになる。近年さらなる高集積化、大電力化、高信頼性化、モジュール化、および低コスト化の要求に対して、基板材料として窒化アルミニウム（ＡlＮ）などのファインセラミックスを用い、接合方法として活性金属法を用いた活性金属銅回路基板（Active Metal brazing Copper；以下ＡＭＣ基板と略）を開発した。今回加えて、９０W/mKクラスの高熱伝導・高強度窒化ケイ素（Ｓｉ３N４）製活性金属銅回路基板（ＳＩＮ－ＡＭＣ基板）を開発し、モジュール熱抵抗低減を目的としたセラミックスの薄板化を達成するためシート成形技術も確立させ0.3mm厚さ程度にまで対応することが可能となった。特性としては、ＳＩＮ－ＡＭＣ基板は強度特性、耐熱サイクル性に対する信頼性がかなり向上し、また薄化によりＡlＮ並みの熱抵抗が得られることを確認した。本報告では、ＳＩＮ－ＡＭＣ基板のそれら基本特性を中心に、当社ＡＭＣ基板製品・技術について概説する。

■ MJ-354-99・・・高熱伝導性導電接着剤の開発と応用

武田　修(㈲ティー・アンド･ティー)

　半導体パッケ－ジの発熱量の増大に伴って、従来のレベルを大きく越えるはんだ代替の高熱伝導性導電接着剤が求められている。米国ダイマット社により従来の銀エポキシ系の15～20倍の熱伝導を持つダイボンド剤が開発され、実用化が始まった。高熱伝導率を得るための熱伝導フィラ－としては銀が最適であり、銀の含有量と熱伝導率は対数的に相関している。熱伝導率が４０Ｗ／ｍＫ以上を越えるためには、体積比で６０％以上の銀を含有させる必要があるが、ダイマット社では樹脂バインダ－や希釈剤の工夫と適切な銀粉の組み合わを追及することより含有量の向上に成功している。使用される樹脂は熱可塑性、熱硬化性およびそれらを複合させたものがそれぞれの特性を生かす形で使用されている。使用される銀フィラ－の最適な組み合わせは実験計画法で求められる。電気伝導率と熱伝導率の間には相関が認められるので、簡易的には電気抵抗を目安に開発が進められる。熱伝導率はレ－ザ－・フラッシュ法で熱拡散率、比熱を計測し、比重、空隙率を算入して計算される。しかし、パッケ－ジの設計では熱伝導率（Ｗ／ｍＫ）よりも熱抵抗（Θjc）が重要であり、実際にチップをダイボンドして実測される。熱伝導性の優れたものは熱抵抗も相関して低くなるが、比例してはいない。熱抵抗Ｊｃはチップ、基板および接着界面の抵抗の和であるが、接着剤と被接着材の界面の接触熱抵抗の占める割合が非常に大きい。この熱抵抗はレ－ザ－・フラッシュ法にても測定できるが、DM6030Hkでは金スズ並の熱抵抗が確認されている。接着層の断面は、銀の含有量の多いものは銀同士の接触点が多いのみならず被接着材との界面にも銀が多く存在することを示している。また、熱伝導率の良いものほど熱抵抗にたいする接着膜厚の影響も少ないことが報告されている。今回開発された高熱伝導性接着剤は、金スズ代替として高パワ－のGaAs半導体パッケ－ジ、高周波のＭＣＭ，フリップ・チップ背面からの放熱、埋め込みタイプのパワ－ＭＣＭ、ペルチェ素子、ＲＦモジュ－ル、ハイブリッドＩＣへのパワ－・チップの搭載などに使用され始めている。

平成11年度配布資料一覧

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