マイクロ接合研究委員会　第58回

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M J 　　第５８回　マイクロ接合研究委員会

			第５７回	第５９回

■ MJ-341-99・・・はんだプリコート技術

杉浦正洋，成田雄彦，大貫昭午(ソルダーコート㈱)

はんだホットエアーレヘ゛ラは、フ゜リント基板の表面処理として、従来から使用されきた。今回、現状設備でSn-Ag-Cu系合金を用いてホットエアーレヘ゛ラの評価を行った。作製したTPについて膜厚測定を行った結果、Sn-Ag-Cu系合金とSn-37Pbの差は確認できず、ばらつきも同程度であった。次にスルーホール径を測定した。結果Sn-37PbよりSn-Ag-Cu系合金は幅が狭くなっているが、ばらつきが少なく良好である。鉛フリー合金は、Sn-37Pbとほぼ同程度に制御できることが確認できた。レヘ゛ラ基板の断面調査を行った。スルーホールコーナー部での銅食われが観察された。これは各合金の銅食われのしやすさによる。そこで、Sn-Ag-Cu系合金で温度と銅の溶解速度を確認したところ、温度が高いほど溶解速度は速かった。そのため、銅食われが発生したと考えられる。この系で銅が1%以上溶解した場合、液相線が急激に上昇するため、はんだ槽の管理を厳しくする必要がある。。2種の基板(レヘ゛ラ、フ゜リフラックス)で、フローはんだ付け性を確認した。フ゜リフラックス基板と比べてレヘ゛ラ処理を行った基板は、充分にぬれ上がりフィレット形状も良好であった。レヘ゛ラ処理により、ぬれ性が向上することが分かった。次にリフローはんだ付け性を確認した。1/4Wメルフを実装し、部品の接合強度を測定した結果レヘ゛ラの有無にかかわらずほぼ同じ値だった。これは、破壊モート゛がすべて接合界面でなく銅ハ゜ターンから破壊しているためと考えられる。Sn-37Pbと同程度の強度は有ることが分かった。また、SEM観察の結果、レヘ゛ラ処理によりリフロー時のリート゛に対するぬれ上がりが向上することが分かったことが報告された

■ MJ-342-99・・・熱分析及びＸ線回折によるフラックス素材の検討

柴　隆一，井上美香，竹原奈津紀(東京電機大学)

　はんだ付け業界においても地球環境の保全に関する働きは活発であり、基板洗浄におけるフロン使用の問題、はんだの主構成金属である鉛の毒性の問題、はんだ付け時に発生するVOCの問題等に関し種々の観点から多くの検討が行われてきている。これらの問題を解決する一つの方法としてフラックスからのアプローチが考えられるが、従来のロジンをベースとするフラックスでは物性的な制限からこれらの問題に対処することは困難であり、そのためにロジンに代わる新たなフラックス素材の開発が望まれている。このような状況を受け本報告では新たなフラックス素材の検索手段として熱分析法をとりあげその可否について検討を加えた。熱分析法によりフラックスの作用開始温度、力価、はんだ付け温度範囲内でのフラックスの重量減少率等フラックスに要求される基本的性質を求めることができ、熱分析法はその簡便さ故、広く素材を検索するための手法として活用する価値が有るとの結論を得た。次いで我々が先に提案したロジンに代わる新しいフラックス素材としての有機亜リン酸について、その特徴と次世代用フラックス素材としての可能性について主に熱分析的観点から検討を行ったことが報告された．

■ MJ-343-99・・・熱応力に関するシミュレーション

高橋邦明(㈱東芝)

　共晶はんだを用いた表面実装設計における熱負荷（熱応力・熱疲労）に対する評価・解析と，鉛フリーはんだ化における課題及びSn-Ag，Sn-Ag-Bi鉛フリーはんだ接合部への熱応力解析基礎検討を行い，1)部品や基板の各種破壊基準が不明確なので，破壊評価に直接結びつかないものの，Sn-Ag-Bi系はんだ化に伴う，部品，プリント基板への負荷増大を定量化できた．2)Sn-Ag共晶系はんだ接合部の熱疲労寿命はSn63Pb37よりも長いと推察された．3)Sn-Ag-Bi系はんだは，接合部剛性が高くなるので，非弾性ひずみの大きさは小さくなる．一方で，Bi添加量が疲労特性低下に及ぼす影響は極めて顕著である．Sn63Pb37並の信頼性を確保できるか否かは，Bi量に強く依存していることが報告された。

■ MJ-344-99・・・AuバンプのSnメッキ層への接合とその長期信頼性

寺島晋一，宇野智裕，橋野英児，下川健二，巽　宏平(新日本製鐵㈱)

　近年，高密度化のために，ワイヤあるいはバンプにて内部を接続したパッケージをはんだバンプにて外部と接続する，BGA（Ball Grid Array）およびCSP（Chip Scale Package）方式の利用も増加の傾向にある．BGAやCSPの内部接続では，テープや基板の耐用温度の点から，接合そのものを200℃程度の低温下で行うことが望ましい．上述したように，400℃以上の接合温度で固相のAuと液相のSnとを反応させて接合を行う手法は，すでにTABで利用されているが，200℃程度という低温下での固相のAuと固相のSnに関する系統的な研究は，まだ十分には成されていない．そこで，本報では，200℃程度の低温下でのAuとSnの接合性，および本接合に支配的に寄与する要因についてそれぞれ検討する．さらに，本接合部における長期の信頼性の課題を整理し，その改善策を提案し，AuとSnの200℃程度の低温下での固相接合に着目し，その接合性および接合部における長期の信頼性に関する系統的な研究を行い，(1)　AuとSn膜の固相接合においては，接合温度が支配的に寄与した．適切な接合温度の幅は210から217℃であり，この温度域内で接合を行えば良好な接合性が得られた．(2)　上記の温度より低温側で接合性が低下するのは，接合に必要な化合物相が十分に得られないためと，高温側での接合性の低下は接合部で固液共存領域が形成されるためと，それぞれ推察される．(3)　Sn/Cu材とAuとの接合部では長期の信頼性は実用上不十分なレベルであったが，あらかじめSn/Cu-Sn/Cu材を得てからAuと接合すれば，その長期の信頼性は飛躍的に向上し，実用上十分な程度を確保できることがことが報告された

■ MJ-345-99・・・微細抵抗接合の特質と電子部品・機器の接合への適用

清水一之，印南　哲，村上喜作(松下産業機器㈱)

　電子部品・電子機器業界では、比較的低温での接合ができるはんだ付けが多く行われてきた。しかしながら、昨今環境対策の一環としての鉛フリーはんだの検討開発が進んでいる一方、環境対策プラス接合部の耐熱性等の接合品質の向上安定化・高能率化の観点から、はんだレス接合方法の開発も求められている。筆者らは、電子部品の中でもリレーやモータなどで多用されている巻線用絶縁線（マグネットワイヤ）を対象としてはんだレスでの接合検討を進めている。マフネットワイヤ接合の熱源としては、抵抗熱源、アーク熱源、光熱源などが考えられるが、本報告では抵抗熱源による熱圧着接合に主眼を置いて基礎的な検討や、各種マグネットワイヤと端子との組合わせ検討を行った。この結果次のようなことが判った。（１）設定温度（電極部の温度）に影響されて接合強度は変わるが、引張強度が極大値を持つ適正設定温度が存在する。（２）適正設定温度より低い温度での接合強度は、接合部の剪断強度に影響されると考えられる。（３）適正設定温度より高い温度での接合強度は、マグネットワイヤの変形に伴う応力集中に影響されると考えられる。（４）マグネットワイヤの耐熱温度によって適正設定温度は変わるが、耐熱温度が高いほど設定温度を高くする必要がある。（５）端子の熱容量などによっても適正設定温度は変わることが確認できたことが報告された。

■ MJ-346-99・・・微細パターン-MCM,CSPに使用される微細パターン検査装置

服部新一(日本アビオニクス㈱)

　微細な加工を目的とする場合には、レーザの出力特性だけでなく、ビーム品質が重要となる。このビーム品質の指標としてＭ２値がよく使用される。Ｍ２値はレーザ発振器その物の特性を示すだけでなく、レーザ発振器より出力されたレーザビームの集光性を示すものである。当社のレーザ加工機に搭載するパルスＹＡＧレーザ発振器は、加工内容に応じてＭ２値を２５程度から１００程度まで簡単な共振器の設定変更で選択することができる。Ｍ２値が２５に近い良好なビーム品質を利用した適用例としては、リードフレームの切断があり、速度は数１００ｍｍ／ｍｉｎと量産レベルにないが、微細性という面においては、エッチングに比べ１／５の微細化が可能である。Ｍ２値が比較的大きな５０～９０程度を利用した適用例としてダムバー切断があり、光加工の特長を活かしたレーザ照射位置検出システム（視覚トリガ）の採用とon the fly方式により、高速（１００ｄａｍ／ｓ）で高精度（２σ＝±３μｍ）の切断を実現している。また、その中間のＭ２値が４０程度のビーム品質を利用した例としてリードフレームのスポット溶接があり、これもダムバー切断同様、on the fly方式で、レーザ光と同軸のカメラによる画像処理と、テーブルの移動に伴う同期信号でのレーザ照射を組み合わせ、高速（３０ｐｉｎ／ｓ）で高精度のスポット溶接を実現している。レーザ加工の適用は、波長や発振形態などの選択が非常に重要であり、特に微細加工においては、ビーム品質が微細性の鍵を握る。また、本来のレーザ加工の特長に加え、前述した光による照射位置検出や検出信号に基づくレーザパルスの同期などの光加工の特長を活かせば、さらに応用が広がると考える。　携帯機器（ヘッドホンステレオ、ハンディカメラ、携帯電話）の大幅な伸長により基板の製造技術（ビルドアップ基板）およびICパッケージ（CSP：Chip Size Package）の変化が大きな期待とともに話題となっている。ビルドアップ基板においては、昨年のプリント基板の生産高に占める割合は20%に達しており今後も新規参入メーカが目白押しである。しかしながら、いずれも新しい生産技術が必要なため生産現場では期待する歩留まりにまで達成していない。微細パターン検査装置は歩留まり向上の手段として必要不可欠になりつつある。また、懸案であった検査速度に関しては、目視検査の２倍以上の速度に達した例もある。BGA,CSPの20μｍ以下の微細パタ－ンを検査する検査の現状と今後に期待される検査装置について報告された。

■ MJ-347-99・・・温度可変レーザ三次元測定機

黒岩　稔(土浦テクノロジー㈱)

　近年、半導体パッケージ・プリント基板の高密度・高集積化が高速に進んでいる。これらの開発においては、製品の信頼性確保のため実環境である製造過程温度や使用環境の繰返し温度において、熱変形に伴うパッケージ内部の破壊メカニズムの解明、熱負荷条件を考慮した構成材・形状・寸法を最適化する等が課題となっている。これらの課題に対し評価・検証するためには、温度環境の変化に対する面外変形を高精度に測定できる技術や機器が必要である。当社測定機は、主に半導体パッケージ・プリント基板・各種素材などの開発段階において、温度変化による熱変形の状態をレーザ測定器を用いて非接触で精密に測定するものである。一般的な三次元測定機のほとんどが常温での測定を前提としたものに対し、本測定機は、試料片に高精度な温度変化を与え、且つ、三次元測定をすることができる。本発表では、測定機の概要及び機能・特徴について報告された．

平成11年度配布資料一覧

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