マイクロ接合研究委員会　第61回

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M J 　　第６１回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-361-2000・・・錫・亜鉛共晶はんだを用いた鉛フリーはんだ付け技術

忠内仁弘，小松　出，手島光一(㈱東芝)

　汎用の鉛フリーはんだとして実用化に必要とされる条件は、鉛に代わる元素が有害でないこと、はんだ付け温度、接合信頼性が従来の錫・鉛共晶はんだと同等であること、また既存のはんだ付け設備で対応可能で、従来波のコストで使用可能なこと等が上げられる。さらに、エコマテリアルの観点から金属資源が豊富で安価なこと、および製品からの金属回収方法が確立されリサイクルが容易な事等も重要である。以上の点を考慮して、有害性を含めたエコマテリアル性の検討、基礎研究として機械的特性、及び大気下でのぬれ性の検討を行った。さらに、応用技術としてのリフロー、フロー、ＨＡＬ処理，ＢＧＡボール、糸はんだ、及び合金めっき等、現在の実装技術に必要な全分野のはんだ付け技術を検討した。その結果、各有力はんだメーカーのご協力により、実験室レベルのみならず実用化レベルでの評価で、錫・亜鉛共晶はんだが汎用鉛フリーはんだとして最適候補であることを見出した。

■ MJ-362-2000・・・鉛フリーはんだボールの急冷凝固組織

佐藤光司，伊達正芳(日立金属㈱)

　Sn-Ag系、Sn-Ag-Cu系、およびSn-Ag-Cu-Bi系の鉛フリーはんだボールの製造に油を不要とする均一液滴噴霧法(UDS法)を用いて取り組んだ結果、①いずれの組成においても高い生産速度で、良好な粒度分布と真円度の分布を持つ鉛フリーはんだボールの製造が可能であった。また、②毎秒数百度程度の速い冷却速度で製造されたはんだボールは、Sn-Ag系では、5.5mass%Agに共晶組成を有することがわかった。一方、平衡状態での共晶組成である3.5mass%Agでは、明らかにβSnの初晶デンドライト組織を有しており、亜共晶組成となっていることがわかった。さらに③Sn-3.5mass%Ag-0.75mass%CuへのBiの添加は、1～2mass%のレベルなら、はんだボールの表面肌改善に効果をもたらしたが、過度の添加は、いたずらにβSnの融点を低下させ、かえってボールの表面形状を劣化させることがわかった。

■ MJ-363-2000・・・環境調和型多層プリント配線材料

鈴木鉄秋（東芝ケミカル）

　環境調和型多層プリント配線材料としてのハロゲンフリー基板材料は、基板材料分野での環境対応という側面から開発が進められている。そして、環境特性＋火災安全性の観点から検討されているFR-4、RSC材料分野では、リン／窒素併用系でのエポキシ樹脂の難燃化が主体に検討され、耐燃性UL94V-0を達成し、ダイオキシン類、ハロゲン化水素類などの発生を防止し、信頼性も従来基板以上の特性を有している。しかし、加工特性については、従来品に劣るところもある。そこで、今後のプリント配線材料開発は環境特性付与が前提となると考えられるが、同時に進行するプリント配線板の高密度化、小型化などのPWB設計技術の進歩に、基板材料サイドからのみ対応することは、ほとんど不可能に近いため、それを補完する意味でのPWBプロセス技術、実装技術などの改良・開発も不可欠となる。

■ MJ-364-2000・・・Ｘ線ＣＴ装置による半導体実装部品の解析

高堂　積，姫井志乃夫（九州日本電気㈱），有田宏志，久富恭義，大野恭秀（熊本大学）
　大西修平，開本　亮（㈱島津製作所）

　半導体パッケージの内部解析は、２つの手法が存在する。一つは破壊手法であり、断面切断・研磨や樹脂開封等がそれにあたる。もう一つの手法は非破壊手法であり、超音波探傷法や放射線透過法である。我々は、この放射線透過法における断層観察方法として、新しく開発されたＸ線ＣＴ装置を用いての内部構造解析法を提案する。本装置は、産業用として開発されたＣＴ装置である。その特徴としては最小焦点寸法が４μｍと小さくすることで微少な試料の観察を可能としている点にある。また、新規ソフトウエアの開発やコンピュータの能力向上により処理時間や精度の大幅な向上が図られている。今回、断層観察として、まず市販されている家庭用電気製品に実装されている複数社製のＢＧＡパッケージのはんだボールについて観察を行った例を紹介する。また、疲労試験を行ったはんだボールのクラックについても断面観察を行い、そのクラックの観察が可能である事を確認した例や、さらにＦＣＢＧＡパッケージの内部構造の観察も実施し、半導体素子上に形成されたはんだバンプや基板の回路についても観察を試みた例についても紹介する。また、さらに断層観察で得られたデータを基に３次元画像構成を行い、内部構造の位置関係を観察した例としてＱＦＰパッケージ内のボンディングワイヤ形状の観察や、モールドＢＧＡパッケージのワイヤとリードとの位置関係を観察した例を紹介する。これらの観察結果を基に、半導体部品の内部構造観察へのＸ線ＣＴ装置の有効性や試料近傍に他の電子部品などがある場合の観察限界等の課題について検討した。

■ MJ-365--2000・・・レーザＣＶＤ技術と液晶表示装置への応用

鳥越俊宏，久住庸輔，米川　勝，村松靖夫，若林浩次，渡部修一（日本電気㈱）

　近年、ＰＣ用モニタ、携帯機器などの表示装置として液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）の普及がすすみ、大型化や高精細化が進んでいる。ＬＣＤ製造コスト低減のためにはＬＣＤ基板の歩留向上が重要で、これまで欠陥救済手段としてあらかじめ設けておいた基板内の冗長回路への切り替えや、短絡部の絶縁にレーザによる配線除去などによる救済が行なわれてきた。今後パネルサイズの大型化や高精細化にともない基板内配線の長大化、微細化がすすむと断線欠陥が発生しやすくなる傾向にある。従来方式では使用可能な冗長配線数の制限などですべての欠陥の修正が困難で基板を廃棄せざるを得ない場合があった。筆者らはレーザＣＶＤ（化学的気相成長法）による金属薄膜の形成による液晶ＴＦＴ基板内の断線箇所の結線修正を、ガスチャンバを不要とするガスカーテンシールド方式のガス給排気系で実現し新たな修正手段の技術開発を行った。実用的なＣＶＤ膜質およびスループットが得られたので報告する。

■ MJ-366-2000・・・波形制御機能付きパワーフィードバックＹＡＧレーザの紹介及び実施例

内田高弘，川村浩二，牛増　強，小川　誠，石塚征和，松田　恭，松川　仁（ミヤチテクノス）

　溶接用途でＹＡＧレーザは、大変普及してきたが利用する立場の方々に於いて、溶接品質を維持管理するのは、苦労があったかと思います。そこで、溶接品質の維持管理を容易にし苦労を少しでも和らげることが出来ないかと考え、波形制御機能付きレーザパワーフィードバックＹＡＧレーザML-2650A(500W)・ML-2651A(400W)を２年前に開発し、その流れを受け継ぎ更なる機能及び性能向上したレーザML-2350A(70W)・ML-2351A(50W)を開発した。ML-2350A/ML-2351Aの特長及び仕様は１）リアルタイムでレーザ出力波形が設定波形と同じになるよう、レーザパワーフィードバック制御するので出力は安定した。２）波形制御機能は、任意形状が設定できその設定に対し忠実に再現出来る様になったので、難溶接材の溶接も可能になる。３）フェードインフェードアウト機能により、連続するパルスエネルギを徐々に大きくしたり小さくしたり出来るので溶け込み深さの制御が可能になる。４）ランプ寿命検出機能を持たせ警報出力することが出来るようになった。５）その他に、分岐光学系の性能向上、条件切替時間及び外部スタート応答時間の短縮を行い使い勝手を良くした。実施例としては１）波形制御機能ＹＡＧレーザによる各種金属のポロシティ抑制事例の説明２）フェードインフェードアウト機能と波形制御機能の組み合わせによる溶け込み深さ制御とポロシティ抑制事例の説明３）ＳＵＳパイプの円周シーム溶接時に於けるエンドパルスのクレータ抑制をフェードアウト機能にて実施した事例の説明がおこなわれた。

■ MJ-367-2000・・・シリコンのマイクロ加工

上野　保，横井　哲郎（東成エレクトロビーム）

　我が国の近年の工業的発展おいて電子技術および電子デバイスの実装技術が果たしてきた役割は大きい。これらの分野の内、エポキシ等の樹脂を利用した実装基板技術はいままでに我が国の得意分野であったが、アジア新興工業諸国が急速に競争力をつけてきている。一方シリコンを素材とした実装基板技術の開発はまだ開発が緒についたばかりである。本研究開発においてはウエハ貫通技術を前提として、両面実装、３次元実装に至る技術開発を目指す。そのための第一歩としてここではシリコンを基板材料として、超精密・微細実装用基板を製作する。これより両面基板化、マイクロマシンのアクチュエータ、センサ、信号処理の融合化の技術的突破口となることが期待される。シリコンウエハへの微細孔形成は、これまでもレーザ加工、超音波加工、放電加工により可能であったが、かなり孔径は大きく、加工アスペクト比も小さい。また時として加工壁面は荒れている場合が少なくない。これらの方法では、１００ミクロン以下の微細な貫通孔をウエハに形成することは、つい最近まではきわめて困難であった。ところがここ数年のマイクロ加工技術（反応性イオンエッチング、放射光利用加工）の進展により、ウエハを貫通するような微小な孔形成までもが可能となってきた。本研究開発ではこのような最近の微細加工技術の進展を利用して、次世代の実装技術用ボードの開発を目指し、半導体チップと同一の熱膨張係数を有するシリコン基板をベースとする多層配線基板に、微細スルーホールの形成技術を開発する。

平成12年度配布資料一覧

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