マイクロ接合研究委員会　第62回

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M J 　　第６２回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-368-2000・・・実装技術の動向と今後の課題

西　邦彦(㈱日立製作所)

　半導体の実装はこれまで面実装パッケージが主流となってきた。しかし、デジタル情報機器の発展に伴い、実装携帯は大きく変わろうとしている。1995年頃開発されたエリアアレイ型パッケージであるBGAやCSPが大きく伸長し、携帯機器の発展を促している。今後デジタル処理機器は更に発展していくものと思われ、小型化、薄型化、軽量化に加え、システムに最適な実装形態が今後の大きな課題である。この中でも、実装系の電気特性の向上が大きな課題になっていく。ここでは従来パッケージにおける今後の技術課題およびシステム実装技術の課題について検討した。その結果、チップ間の信号線はバス幅を広げ高速でデータの転送を行う。システムLSIでは配線の負荷が小さく、微細配線が可能なことから、性能を上げやすい。これに対してボード実装ではパッケージおよび基板配線の負荷が大きいため、それぞれのチップに大きな入出力バッファを必要とする。また配線ピッチを微細化することが現状では困難なことから、あまり大きなバス幅は取れず、また負荷が大きいため高速転送が困難である事が分かった。これらの問題点を解決するために、配線負荷の小さい、ファインピッチの接続が可能な実装技術の開発が進められている。従来パッケージを用いた実装技術では数100ミクロンピッチのオーダーであったが、フリップチップでは100ミクロンピッチ前後、更に今後の開発目標としては10ミクロンオーダーのピッチが挙げられている。またチップに貫通電極を形成して、これを多段に積層しファインピッチで接続することにより、高速伝送を可能することを目的にした開発も始まった。接続技術はバンプ形成技術、実装技術のほか、バンプ付きチップのテスト技術、ファインピッチ基板など幅広い技術の開発を必要とする。今後関係分野の巾広い協力関係を構築しながら開発を進めることが必要である事が報告された。

■ MJ-369-2000・・・Ｐｂフリーソルダの特許調査報告

江田忠弘(リコー㈱)

　鉛の法的規制が間近になり実用化の時期である。電子機器の設計者ははんだの性質と特許が気になる。そこで、実用化の一つとして日本特許と米国特許を調べた。その結果日本では合金とめっきの開発が進んでいる。また、米国では合金とめっきの特許が出そろっているという結論が出たという報告がなされた。

■ MJ-370-2000・・・ウェハレベルパッケージング技術

伊藤大介（新光電気工業㈱）

　CSP(Chip Size Package)と呼ばれる一連のICパッケージング技術の中のひとつに、WLP(Wafer Level Packaging)技術がある。これはウエハ形態のままChip上に再配線をおこないICをパッケージ化する一連の技術である。この技術は、CSP、ひいては小型で高機能なモジュールをいかに簡略なプロセスで作るかを課題とした技術であり、半導体のバックエンドプロセスとしての性格を脱し、従来のウエハ前工程、テスト、分割、パッケージ、アセンブリといった従来分業化されていた技術の境界を薄れさせ、これらの融合と合理化を進める技術と考えることができる。具体的には (1)ウエハーのままモールド・端子接合を行うSuper CSP、(2)ばね特性をもつ特徴ある端子をもち、実装信頼性と電気試験の簡易化をねらったMOSTの2種類WLCSPについて、製造技術とそれぞれの特徴について報告された。

■ MJ-371-2000・・・Ｎｉ－Ｐめっきとはんだ接合境界のEPMAによる解析

村　隆，石川信博（金属材料技術研究所），杉崎　敬，福田　豊（ソルテックス）

　高密度に実装されたプリント基板の開発において、基板実装後の半導体端子と基板の接続信頼性の確保が重要である。はんだ接合部の信頼性評価には、接合界面における材料組織評価をおこなう必要がある。そこで、電子線マイクロアナライザ（EPMA）で収集したX線面分析データを散布図上で解析する手法を応用し、はんだ接合境界における成分元素の分布状態と生成した化合物相の同定を試みた。その結果、どちらの試料もNi-Pメッキ層のはんだ側にリンが富になる領域が存在する。Niメッキ層のPb-Snハンダ側にPの濃縮領域が存在することを確認した。Niメッキ層とPb-Snハンダの間にNi-Sn化合物相が形成されているが、このNi-Sn化合物相にはPが含有されていない。破断はこの化合物相とメッキ層の境界またはこの化合物相中で生じていた事が報告された。

■ MJ-372--2000・・・分子動力学を応用した薄膜界面の剥離強度評価技術

岩崎富生（㈱日立製作所）

　半導体デバイスや磁気ヘッド等の製品は，複数の薄膜材料が積層された構造を持ち，微細化・高機能化のために各膜厚を数原子層から数十原子層にまで薄くする必要が生じてきている．このような薄膜積層構造の異種材料界面では原子が拡散しやすく，界面を構成する材料の相性が悪いと，剥離やボイドの発生が問題となる．そこで，本研究では，分子動力学を用いて，薄膜応用製品における異種材料界面の剥離強度を評価し，密着性の強い材料の組合せを予測するための技術を開発した．本技術を，配線膜（Al膜，Cu膜）と拡散防止用下地膜（TiN膜，W膜）の界面における剥離強度計算に適用し，その結果，Cu/TiN＜Cu/W＜Al/W＜Al/TiNの順序で剥離強度が増加することを明らかにした．また，剥離強度が原子配列の規則性によって支配されることを明らかにした．計算結果は，スクラッチ試験による実験結果とよく一致し，本計算技術の妥当性が実証できた事が報告された．

■ MJ-373-2000・・・光ビームによる鉛フリーはんだを用いた局部接合技術

水内彰一（松下産業機器㈱），池田順治（松下電器産業㈱），中川幸治，東條正文（松下産業機器㈱）

　鉛は、紀元前４０００年からはんだ付けに用いられてきたが、近年環境意識の高まりにより、人体に有害な金属として排除する取組が、電子機器・カーエレクトロニクスの分野を中心に進んでいる。携帯・情報・ＡＶＣの端末機器は、超・軽・薄・短・小の流れにあって、小型の高機能、高密度の商品開発をするために、鉛フリーはんだ使用時の高温対応が製造工程の中で課題となる。こうした状況の中で、光ビームによるピンポイント・エリアリフロー加熱が次の理由により有効な解決法であることがわかった。【１】光エネルギ－の特長である出力を、定量的に制御することによる信頼性の向上が可能である。【２】非接触加熱により、はんだ付着量を制御できることから、はんだ付品質の向上が可能である。【３】ワ－クサイズに適したビ－ム径を選択できる局部加熱により、ワ－クの熱ダメ－ジが減少する。さらに、はんだ供給などの周辺機器、ならびにビ－ム用の鉛フリ－はんだ材料を、はんだ付ワ－クに適切に使用することにより、鉛はんだ全廃に寄与できるものと考える。ただし、課題としては、１．上記性能を確保するため、製品として機能アップとなり、高価格になる。２．局部加熱のため、ワ－クに適したはんだ付施工実験が必要になる。等が考えられる事が報告された。

平成12年度配布資料一覧

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