マイクロ接合研究委員会　第66回

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M J 　　第６６回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-395-2001・・・半導体パッケージ技術のトレンド－今後１０年の予想－

谷本道夫（㈱日立製作所）

　動画などを含む大量の情報をいつでもどこでも瞬時にやり取り出来る社会が間もなく来ると期待されている。これを実現する機器は無線を使った携帯型のものがふさわしいと考えられるが、主としてそこに組み込まれる半導体パッケージの動向は①CSPであるFBGAによる多ピン・小型化、②薄型化、③高周波化、④積層化、⑤ウェーハレベルパッケージング化 ⑥環境保護・維持回復への対応である。これに対する主要課題は①FBGA：外部端子のボールサイズ及びピッチが小さくなることによる搭載精度の向上、接合信頼性の維持、②薄型化：パッケージあるいはチップのワレ、薄ウェーハのハンドリング、各部材肉厚バランス最適化③高周波化では信号の反射・クロストーク、同時切り替えノイズ、EMIの低減、可視化、④積層化ではワイヤボンディング技術の高度化、KGD技術、⑤ウェーハレベルパッケージング化：バンプ形成コストの低減、⑥環境：鉛フリーはんだ、ハロゲンフリー基板、封止用レジンの使用倍率向上などである。

■ MJ-396-2001・・・エレクトロニクス用ナノめっき技術

渡辺　徹（東京都立大学）

　最近のエレクトロニクス機器には種々様々なめっき技術が巧妙に使われており、それらは益々繊細になり、ミクロからナノサイズになっている。このようなめっき技術では、これまでのめっき技術の延長ではなく、金属組織学的構造や、結晶粒径、表面形態、そして結晶配向性を制御することによって、さらに高機能化が可能となる。これまで、12種類の純金属や30種類以上の合金めっきにおける、種々のめっき条件と膜構造との関係について主に透過型電子顕微鏡によって実験し、詳細に検討してきた。その結果、めっき膜の構造に関するデータベースができるとともに、それらのデータから、これまでのものとは全く異なった「めっき膜の構造制御理論」を発見した。この理論は、これまでの電気化学的な理論とは異なり、金属組織学的に説明するのである。またこの理論は、前述した膨大な実験結果全てに矛盾の無い理論であるため、めっきにおいて現れる現象のほとんどを明快に説明することができる。そのため、極めて現実的であり、種々の電子デバイスにおいて使われているめっき技術の基本的な考え方を説明することができ、さらに繊細になるめっき技術に対応する技術について報告された。

■ MJ-397-2001・・・３次元実装のためのシリコン基板への貫通配線形成技術

滝沢　功，山本　敏,糸井和久，中村裕成，末益龍夫（㈱フジクラ）

　ICの3次元実装などシステムを小型、高密度にすることを目指した「システム・イン・パッケージ（SIP）」において、シリコン基板に貫通配線を形成する技術は、キーテクノロジーになりつつある。その要素技術として、高密度・高アスペクト比の貫通孔を形成するための光アシスト電解エッチング法（Photo Assist Electro Chemical Etching：PAECE）と貫通孔に気圧差を利用して溶融した金属を充填する溶融金属吸引法（Molten Metal Suction Method）を開発した。これらは特に、比較的厚いシリコン基板に貫通電極（配線）を形成する必要がある光学素子の実装では、有利な技術である。本発表では、これらの技術の原理、実際に行った実験、試作の概要、課題事項について述べる。試作した貫通配線のシリコン基板に対する絶縁耐圧は500V以上あった。また、ラジオアイソトープによるリーク試験で1×10-15 Pa・m3/sec.以下の気密性を有することを確認したことが報告された。

■ MJ-398-2001・・・小型で簡便なマイクロフォーカス・デジタル透視装置

馬場末喜，大森康以知,栗秋博幸，清水　隆，（松下産業機器㈱），池田順治(松下電器産業㈱)

　近年、ますますモバイル商品の高機能化・小型化が進み、部品の一層の小型化、実装の高密度化も進行しているため、検査装置として、Ｘ線検査装置が普及しはじめているが、接合部分の微細化の進行により、拡大率の向上の要望が強くなっている。Ｘ線透視撮像では、Ｘ線源と被検体と撮像素子の相対位置を幾何学的に変えて、画像を拡大する。その為、拡大率を上げるには、Ｘ線源と撮像部の距離を大きくとる必要があり、装置が大型化する状況になっている。一方、Ｘ線検査装置を使用したいという要望は増加しており、設置場所の制限から、装置の小型化が望まれている。今回、コンパクトで卓上型に設置でき、かつ、高分解能で拡大機能を有し、フリップチップ接合部やワイヤーボンドの観察に有効である設置スペースの少ない小型で高分解能な装置の開発を行った。クリーンルーム内の狭い場所や実装工程におけるラインサイドでの設置、あるいは研究開発実験室での使用など、従来の大型機では設置できないと思われていたところでのマイクロフォーカスＸ線装置の使用を可能にした。また、電源の省電力化により消費電力が１２０Ｗと通常のコンセントでの使用が可能となったという報告がなされた。

■ MJ-399--2001・・・Ni-Pめっきと、鉛フリーはんだ接合部の界面構造解析

長南安紀，小宮山崇夫，大貫　仁（秋田県立大学），浦尾亮一(茨城大学)

　携帯電話に代表されるエレクトロニクス製品の小型化・軽量化が急速に進み、デバイスの高密度・高速化に伴って接合部の微細化及び狭ピッチ化等により、接合界面が接合部の信頼性に当てる影響は大きくなっている。これら接合部には無電界Niめっき膜とはんだとの組み合わせがよく用いられているが、無電界Niめっき中にはPが含まれており、はんだとの接合において、界面にP濃縮層を形成する。そして、信頼性試験において、NiめっきとP濃縮層との界面から剥離が発生する場合が多く問題が発生している。そこで、本研究ではまずP濃縮層の構造について詳細に検討し、次にP濃縮層に及ぼすはんだ材の影響とNi-P中のP濃度との関係を系統的に検討し、同じはんだ材を用いた接合界面において、P濃縮層の厚さはNi-8mass%Pめっきの方がNi-2mass%Pめっきよりも厚く、同じNi-Pめっきを用いた接合においては、P濃縮層の厚さはSn-Pb/NiPがもっとも薄く続いてSn-Ag-Cu/Ni-P,Sn-Ag/Ni-Pの順で厚くなり、P濃縮層の厚さはピーク温度での保持時間の増加とともに厚くなる。また、はんだプル試験を行いプル強度を測定したところP濃縮層の厚さとはんだ/Ni-Pめっき接合の強度とは関連性があることが報告された。

■ MJ-400-2001・・・プリフォームアンダーフィル樹脂を適用した超音波フリップチップ接合技術

岩崎俊寛，木村通孝,畑中康道，藤岡弘文（三菱電機㈱）

　プリフォームアンダーフィル樹脂を適用した超音波フリップチップ技術を新たに開発した。超音波フリップチップ技術は、フリップチップ内部接続技術としてNCF（Non-Conductive Film)、ACF(Anisotropic Conductive Film)接続技術のような従来からよく知られている技術と比べて、高生産性及び高信頼性が得られるという利点がある。今回さらに、プリフォームアンダーフィル樹脂を適用することによって、より高い接合性が得られることを超音波振動印加時のICチップに働く力とプリフォーム樹脂の作用とを分析、考察の上、実験により接合挙動を検証した。また、接合信頼性に関しても、金バンプと基板上金属ランドとの間に十分な金属接合を形成でき、高い信頼性が得られることを確認した。このように、この新しいチップ接続技術はAu/Au及びAu/Alの金属接合が可能であり、マルチチップパッケージ、チップ積層構造、或いはモジュールなど、電子機器分野の多様なICパッケージ構造に応用できる技術であることが報告がなされた。

平成13年度配布資料一覧

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