マイクロ接合研究委員会　第55回

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M J 　　第５５回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-319-98・・・吸湿による樹脂膨潤を考慮したＩＣパッケージ接着界面のはく離発生評価

田中直敬，西村朝雄(㈱日立製作所)

　残留応力の影響を実験的に分離できる、ＩＣ封止樹脂の新しい接着強度測定法を開発した。この方法は樹脂と被着材からなる２層ＥＮＦ試験片の３点曲げ試験を上下反転した２方向から行い、それぞれの荷重方向に対するみかけの接着強度を算術平均することによって界面の残留応力を分離した真の接着強度を求めるものである。本研究では、この測定法により求めた真の接着強度を、実際のICパッケージのはく離強度評価を行うための新しい強度指標として用い、吸湿前および吸湿後のICパッケージ接着界面の定量的強度評価を試みた。特に吸湿後のICパッケージのはく離強度評価を行うにあたっては、吸湿による真の接着強度の低下に加え、樹脂の膨潤によるパッケージ内部の応力変化を考慮することにより、定量的なはく離発生予測が可能であることを示した。本評価技術はICパッケージの強度評価に限らず、樹脂と金属の接合界面の定量的強度評価全般への適用が可能であることが報告された。

■ MJ-320-98・・・ＩＣの樹脂封止におけるワイヤ流れ支配要因

吉原忠史，幸　幹雄，林田武史，大野恭秀(熊本大学)

　ＩＣのパッケージングの主流である、ワイヤボンディング技術の進歩は目覚しく、今後ますますピッチの微細化、ロングスパン化が進むと思われる。そのなかで、樹脂封止時にワイヤが流される、いわゆるワイヤ流れは、より重要な課題となってきている。ワイヤ流れを支配する要因としてワイヤ、樹脂各々の特性、モールド特性などがある。今回は特にワイヤに重点をおいて、検討をおこなった。樹脂は熱硬化性のため、ワイヤ流れのシミュレーションとして、粘性液体を用いて実験した。ワイヤの特性を種々変化させて調査した結果、流れの少ない範囲ではワイヤのヤング率が大きな影響を及ぼすことが解った。金のヤング率は集合組織を制御することによって、改善することが可能で、<111>の方位をもつ結晶が長手方向にそろうことが必要である。また、樹脂の粘度との関係では、ワイヤ流れにおよぼす樹脂特性を樹脂の種類、フィラー量を変えて調べた結果、粘度だけでは整理できず、ずり速度を考慮した粘度を測定する必要がある。また、さらに、ワイヤの特性を改善するため、タングステンを金で被覆した複合ワイヤで調査した結果、大幅な改善がはかられることが報告された。

■ MJ-321-98・・・スーパージャフィット（ＳＪ）法によるSn/Zn系鉛フリーはんだプリコート技術

堺　丈和，荘司孝志，倉本武夫(昭和電工㈱)

　人体に対する毒性から鉛に対する様々な分野で規制の対象になってきている。廃棄された家電製品のプリント配線板からの鉛の溶出が懸念されるようになり、はんだにおける鉛フリー化の要求が高まってきている。はんだプリコート技術である「スーパージャフィット法」は、膜厚の均一性、膜厚の制御性および種々のはんだ組成にも対応できる特長があり、既にＳｎ／Ａｇ系鉛フリー組成で0.12mmピッチのフリーップチップ基板に工業レベルで応用されていることが報告された。また、Ｓｎ／Ｚｎ系はんだ合金で部品実装するのに充分なはんだ量を供給しておき、粘着性フラックスで部品を仮付けし大気雰囲気で一括リフローする工法について検討した結果が報告された。

■ MJ-322-98・・・Sn/Zn系鉛フリーソルダペースト

網田　仁，渋谷義紀，長崎俊介，荘司孝志(昭和電工㈱)

　人体に対する毒性から鉛は様々な分野で規制の対象になっている。近年、廃棄された家電製品のプリント配線板からの鉛の溶出が懸念されるようになってきた。そのため、はんだにおける鉛フリー化が急務になっていている。しかし、鉛を含有するはんだの代替材料は材料特性以外に作業性を含めた多くの要求事項があり、現在これらを総て満足する決定的な材料は出現していない。筆者等は公知の合金組成から融点、材料特性、経済的検知からSn/Zn系のソルダペーストの開発に取り組んだ。敢えて、ソルダペースト化が難しいと云われているSn/Zn系を対象にした理由は、最も有望な鉛フリー合金であるからである。究極の開発目標は、大気リフロー可能ソルダペーストの開発である。即ち、現行の設備がそのまま使えるソルダーペーストの開発であるが、本報では現状の開発レベルについて報告する。使用に際しては窒素リフローという限界条件はあるが、作業性や信頼性の面から実用可能と判断されたことが報告された。

■ MJ-323-98・・・真空・Ｈ２半田付け装置開発について

森　武史，小野義暢，岩佐久夫，的場唯次，古本幸喜(神港精機㈱㈱)

　自動車を始め、あらゆる分野でエレクトロニクス化が進展し、使われている電子機器・部品には、小型・軽量・多機能化が強くもとめられている。当然のことながら、この中で使われるパワーデバイスにおいても、小型化・大電流化への取り組み強く求められている。一方、パワーデバイスの製造工程では、チップを基板へ又は基板を放熱基板へ接合するのに、半田接合を行う事が一般的であるが、この半田接合時に半田やフラックスから発生したガスが接合部に閉じ込められ（ボイド）、接合強度や熱伝導性の低下を引き起こす大きな要因となっており、デバイスの小型化・大電流化の流れを阻害している。又、この半田接合プロセスでは、フラックスを使い半田付け後に洗浄する事も多いが、洗浄液による環境破壊やフラックスがボイド発生の一原因にもなっている事を考えると、フラックスを使用しない手法の開発も求められている。当社では、こうした問題の解決する為に、今回真空・Ｈ２半田付け装置を開発したので、装置の概要、利点等について報告する。その他に、電子機器の小型・軽量・多機能化に伴い、ＩＣのパッケージや実装において、ＢＧＡ，μＢＧＡ，ＣＳＰ，ＦＣ等の新しい手法が開発・進展し、こうした手法の中で半田バンプの形成やそれによる接続が重要な要素技術として注目を浴びているが、当社の真空・Ｈ２半田付け装置が、この分野にも有用な働きをすると考え、用途開発を進めているので、これについても若干ふれた報告が行われた。

■ MJ-324-98・・・フリップチップ実装基盤の洗浄技術

前野純一(荒川化学工業㈱)

　電子機器の小型化、軽量化、高速化、多機能化、大容量化に伴い、それらに使用されるＩＣの実装方法として、フリップチップ実装技術は、開発段階から実用段階に入ってきた。フリップチップ実装基板の製造において、ＩＣチップと基板の隙間のフラックスを除去する必要があるが、従来の洗浄技術では全く洗浄できないか、物理的力により接合箇所に悪影響が懸念されるという問題があった。筆者らは、これらの方式を開発し、既に多くの納入実績を得ている。そして、フリップチップ実装基板の洗浄実績を重ねて行く中で、洗浄してみて初めてわかった実装方法毎に起こりうる問題点とその解決方法、把握できている要注意点、それらに対応した洗浄システムの実績例について報告された。

■ MJ-325-98・・・マイクロビアホールの形成とビルドアップ多層配線板

吉岡浩一，田中健一郎(松下電工㈱)

　携帯電話、パソコンなどに代表される近年の情報・通信機器を中心に、電子機器の高機能化・軽薄短小化が進んでいる。これらの要求を満たすべく、半導体パッケージはＱＦＰ／ＳＯＰ等のリード付き部品から、ＢＧＡ／ＣＳＰ等のリードレス部品へ移行しつつある。この新しいタイプの半導体パッケージを実装し、内側のピンからパターンを引き出すため、プリント配線板も従来の一括積層方式の多層配線板からビルドアップ方式へ、貫通穴（スルーホール）から小径化が可能な非貫通穴（ビアホール）へ移行し、高密度化が図られている。マイクロビアホールの形成はビルドアップ多層配線板を高密度化するための要素技術の１つであり、加工方法としてレーザ、フォト、プラズマ、ブラスト等が検討され、層間導通の導電性物質もメッキ、導電ペースト等が検討されている。一方ビルドアップ工法は各社異なった方法を採用しており、全層ビルドアップにより製造される方法や、コアとして従来多層板上に樹脂付き銅箔あるいは絶縁樹脂のみを塗工する方法などがある。ここでは従来基板上に樹脂付き銅箔を積層するタイプのビルドアップ多層配線板において、マイクロビアホールの形成技術とそれを用いたビルドアップ多層配線板の信頼性を検討した結果について報告された。

平成10年度配布資料一覧

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