マイクロ接合研究委員会　第56回

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M J 　　第５６回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-326-98・・・ＢＧＡ／ＣＳＰの半田接合部の信頼性

多久島政紀，折井靖光, 荘司郁夫, 鳥山和重(日本Iアイ･ビー･エム㈱)

　近年、電子機器は、ＱＦＰ(Quad Flat Package)を始めとする面実装部品を用いた表面実装(Surface Mount Technology)により高密度化が進んでいる。従来ＰＧＡ(Pin Grid Array)と言われる端子をアレイ状に配した挿入型部品が盛んに用いられた。このアレイ状に配しての高密度の具現化と、ＳＭＴ化の両方による高密度化を計られたのがＢＧＡ(Ball Grid Array)及び、ＣＳＰ(Chip Size Package または、Chip Scale Package)である。これらの面実装型アレイ配置部品は、ＳＭＴで主に用いられてきたＱＦＰとは、端子の構造上はんだ接合部の信頼性の考え方を異にする。そこで本研究では、面実装型アレイ配置部品であるＢＧＡの基板にセラミックを用いたＣＢＧＡ(Ceramic Ball Grid Array)、ＣＢＧＡのＢａｌｌをはんだ柱に代え信頼性を向上させたＣＣＧＡ(Ceramic Column Grid Array)、ＢＧＡのサブストレートを有機基板に代えたＰＢＧＡ(Plastic Ball Grid Array)、及び、各種構造を模索中であるＣＳＰのはんだ接合部の信頼性を検討した。面実装アレイ部品の接合信頼性は、従来同様に、ＰＣＢと部品の接合と言う形態ではあるが、1)面実装アレイ部品の構造、2)面実装アレイ部品の使用材料特性、また、3)ＰＣＢの構造、4)ＰＣＢの設計等、関係する要素が多岐にわたることがわかった。

■ MJ-327-98・・・先端的バンプ形成法について

木下真言(リコーマイクロエレクトロニクス㈱)

　近年の電子機器は、ＰＤＡなどのモバイル需要に支えられた小型軽量化の進展がめざましい。従来デバイス面での電子機器の小型化を支えてきたのはＱＦＰの狭ピッチ化であったが、実装面での対応が困難なため、現状では0.3mmピッチへの進展が停滞している。その間、携帯電子機器の小型軽量化はＢＧＡやＣＳＰなどのバンプ電極型デバイスによって推進されてきた。今後、モバイル分野においてリード型のデバイスが復権することは考えにくくむしろコネクタなどに残っているリードも小型化のためにバンプ化していくことが予想される。ただ、現状のバンプにもまだ多くの問題点が残されており、早急な対応が必要である。そこで、バンプの「デバイス製造・実装」及び「リペア性・耐久性」を展望し、残問題とその要因、対応技術の動向を検証した上で、その延長線上にある「あるべきバンプ」を考察し、現状の課題を一括して解決する新たな方式の提案が報告された。

■ MJ-328-98・・・はんだバンプによる光素子接続技術
　　　　　　　　　　　－セルフアライメント作用、および微小バンプ技術－

林　剛，小勝負信建，垣次秀起，高原秀行(NTT)

　はんだバンプのセルフアライメント作用を光素子と光ファイバ/光導波路との位置合わせに利用する、はんだバンプによるセルフアライン接続技術に関して述べた。はんだバンプ溶融接続時に外部から半導体チップに働く外乱のエネルギーEと、それによって発生する半導体チップの接続位置変動dの関係(d-E曲線)は、二次の関数であることを示した。また、高精度の接続を行うためには、はんだバンプの寸法を減少させる事、および接続点数を増加させる事が有効であった。平面方向アライメント精度は、直径100um以上のはんだバンプでも数ミクロン、直径26umの微小はんだバンプではサブミクロン(平均位置ずれ量0.2um)であった。はんだバンプ接続法を用いて光軸のセルフアラインメントが可能なフェルール付きチップキャリアを考案し、レセプタクル受光モジュールを試作した。また、将来の高機能情報処理装置への適用が期待されるOE-MCMについて、PD-マルチモード導波路間のはんだバンプによるセルフアライメント接続を実現した。さらに、あらかじめキャリア基板にはんだ膜を形成しておき、これを光素子の電極上に転写形成する転写形微小はんだバンプ技術を提案した。また、面方向の高精度なアライメントに加え、転写工程を複数回繰り返すことによって高さ方向の高精度なアライメントを実現するマルチ転写形微小はんだバンプ接続技術についても提案した。この技術は、将来の表面実装形OE-MCM実現の鍵と考えられる。以上の様に、微小はんだバンプによるセルアライメント技術は、将来の光素子実装技術として、非常に有望である。

■ MJ-329-98・・・赤外線リフロー技術の開発－均一な加熱方法の検討－

作山誠樹(㈱富士通研究所)，田中久雄(富士通㈱)，真下啓治(古河電工㈱)

　ＳＭＴにおける部品実装のプロセスにおいて、各種部品をはんだ付けする時の加熱には、赤外線リフロー装置がもっとも多く使用されている。しかしながら、赤外線による輻射加熱ではパッケージサイズの異なる部品が搭載されるプリント配線板に対して場所による温度差が大きくなるという傾向がある。この場合、大型の部品をはんだ付け温度まで加熱しようとすると基板表面あるいは熱容量の小さい小型部品は高温（例えば240～250℃）となり、基板のそりの増加やスルーホールの抵抗増加部品内部のクラック発生など様々な熱的損傷の危険性が強まってきて一度にすべての部品をはんだ付けすることが困難になってきている。そこで赤外線特有の性質である選択的な吸収・放射特性を利用した新しいタイプのリフロー技術並びに装置を開発した。この技術は、従来のよりも低い温度でのはんだ付けが可能であり、熱ストレスを押さえた信頼性の高いリフロー加熱が可能になることが報告された。

■ MJ-330-98・・・フラックスの電気化学的作用を利用したＰｂフリーソルダのぬれ性改善の提案

竹本　正(大阪大学)

　ソルダリング用フラックスの電気化学的作用がソルダ／母材間の濡れに及ぼす影響、特に、ソルダ／母材間の電極電位差に基づいて両者間に流れる接触腐食電流が濡れ及ぼす影響について検討し銅母材はSn-37Pb共晶,Sn-3.5Ag,Sn-8.8Znのいずれのソルダよりも電位が高くこれらとの接触によりカソードとなることが明らかになり、その結果に基づいて濡れ性に劣るSn-Zn系Pbフリーソルダの濡れ性改善方法としてはZnの優先溶解を低減するためにソルダへのAgの添加及びZn量低減、並びに母材にCu-Znを使用しソルダとの電位差を低減することにより有効であることが報告された。

■ MJ-331-98・・・車載環境におけるベアチップ実装技術

堀井良和(日産自動車㈱)

　ベアチップ実装を用いた小型化車載電子機器を開発した。この製品の装着部位はエンジンルーム内であるため、厳しい信頼性が要求されている。特に熱応力ストレスに対して耐性が厳しくなっており、今回は実装構造が新規となっているため、接合部位について着目し評価・解析を行った。評価部位は、Auワイヤボンディング部、導電性接着剤接合部、Alワイヤボンディング部で、評価方法は温度サイクル試験を用いた。実装構造の中で信頼性に支配的な因子について、材料・実装工法面から解析した結果、次の知見を得た。1)Auワイヤボンディング部については、低弾性率の樹脂をチップコート剤に使用するのが効果的で、ワイヤループ長は短い方が寿命が延びる。2) 導電性接着剤接合部については、 SMD部品の電極材質を、温度サイクルストレスで表面（接合面）が劣化し難いAuメッキを使用するのが効果的である。3) Alワイヤボンディング部については、ワイヤ径が細く、ワイヤ材質が軟らかいワイヤを使用して、高さを高くボンディングするのが効果的である。

■ MJ-332-98・・・自動車用ハイブリッドＩＣパッケージの構造設計

保川彰夫(㈱日立製作所)

　自動車のエンッジンルームのように、厳しい熱環境の中に実装されるハイブリッドＩＣの高信頼度構造設計を可能とするため開発したシステムについて述べる。厳しい熱環境の中におかれるハイブリッドＩＣにおいては、その中に組み込まれた各種接続部に熱サイクルによりひずみが繰返し加わるため、各種接続部の疲労寿命の確保が重要な課題となる。このシステムはハイブリッドＩＣの中のワイヤやはんだ接続のようなさまざまな接続構造について、熱サイクルによる疲労寿命の予測を可能とするものである。このシステムの中には、データベースが組み込まれている。このデータベースは、ハイブリッドＩＣの中で使われる各種接続構造の基本構造モデル、材料特性、そして評価条件のデータベースを含んでおり、設計者が解析評価をスピーデイーに行うことを可能としている。このシステムの中には、感度解析も含まれている。この感度解析は、構造案の改良方向を見い出すことを可能とするものである。

平成10年度配布資料一覧

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