マイクロ接合研究委員会　第57回

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M J 　　第５７回　マイクロ接合研究委員会

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■ MJ-333-99・・・プラスチックパッケージ用微細ビルドアップ配線板

中川智郁，中谷直人(山梨アビオニクス㈱)

　今回開発しましたプラスチックパッケージ用ビルドアップ配線板は，レーザ加工用いたビルドアップ工法により製造しており，ビアホ－ルの小径化と配線の高密度化によりチップ間の配線距離を短縮し、信号伝播を高速化することが可能であり，また，ソルダバンプを設けたことでフリップチップ（ＦＣ）実装が可能なことより，最小回路幅３０μｍ，最小回路間隔３０μｍの微細配線により，高密度パタ－ン形成が可能で，レーザビアホ－ル形成により層間接続が可能となるため配線長の短縮が可能であり，かつパタ－ン幅精度が高いため（σ＝５μｍ），回路の電気特性が向上し，配線の自由度が高いためパタ－ン設計に要する時間が短縮され設計コストの低減が可能であることが報告された。

■ MJ-334-99・・・超小型パッケージの開発及び信頼性評価

大広雅彦，南尾匡紀，老田成志，松尾隆広，奥田吉秋(松下電子工業㈱)

　近年の携帯機器の進化には目を見張るものがある．小型・計量を謳い文句に新しい商品がどんどん発売され，携帯電話では重量が７０ｇを切ったものも現れている．小型・軽量化の競争は現在も続行中であり，１ｍｍ・１ｇ単位の熾烈なものとなっている．そのような中，携帯機器に載る半導体に対する要求も厳しいものがあり，それに応えるべく半導体用パッケージ開発部門では，少しでも小さく，軽くを目標に各種ＣＳＰ（Chip Scale PackageまたはChip Size Package）の開発を行っている．その一つが，今回紹介する当社が開発したＱＦＮ（Quad Flat Non-leaded package）と称する超小型パッケージである．ここではＱＦＮの構造についての説明と，その構造ゆえに発生した課題とその対策についてリードフレームを用いて，チップのパッドとリードとの間をワイヤボンドで接続し，樹脂封止した超小型パッケージであるＱＦＮを開発し，開発当初あった課題を解決することができた．ＱＦＮの実装後の基板との間の接合信頼性については各種観点から評価を行い，基板の押込み力の測定やシミュレーションから繰返し曲げ試験の結果を推定できることが報告された．

■ MJ-335-99・・・Au/Al接合部におけるボイド生成および化合物腐食の機構解明

宇野智裕，巽　宏平(新日本製鐵㈱)

　ＩＣなどの半導体デバイスの配線および電極は厚さ１μm程度のAl膜で形成され，その電極と外部端子を接続する手法として，直径20～40μmのワイヤボンディング法が主流であり，ワイヤ材質として高純度のAu（4N：>99.99％）が用いられている．Auワイヤの先端をアーク放電により溶融し表面張力により形成したAuボール部を，キャピラリと呼ばれる円筒状の押圧治具により，Al電極上に熱圧着方式により接合する．ワイヤ接続されたＩＣは，外部環境からの保護のために熱硬化性エポキシ樹脂で封止される．AuボンディングワイヤとAl電極との接合部では，経年変化および耐環境性に起因する信頼性の低下について報告例は多く，加熱による接合強度の低下および電気抵抗の増加などが指摘されている．著者らの調査により，接合不良の主な原因は，（１）接合界面でのボイド生成，（２）金属間化合物の腐食反応に分類される．後者の腐食反応は，接合部に成長した化合物と封止樹脂成分との反応であることが報告されている．封止樹脂により腐食進行は異なり，従来の半導体素子に多用されているオルソクレゾールノボラック系エポキシ（以下，OCN樹脂）では，実用上は問題のないレベルと判断されていた．しかし，薄型のＩＣパッケージなどに実用化が進んでいるビフェニール系エポキシ（以下，BP樹脂）では，高温加速試験においてAu/Al接合強度が短時間で低下することが指摘されている．BP樹脂における高温加熱の不良原因は，接合部に成長したAu/Al系化合物相と封止樹脂中の難燃剤であるBrとの腐食反応が関与している．腐食反応は多種の過程により構成されており，特性劣化と不良機構の関係についても充分には明らかにされていない．そこで本研究では，第一に，Au/Al接合部における特性劣化の原因を究明することを目的とし，Au/Al接合部を窒素中または樹脂封止中で加熱した後に，接合強度，電気抵抗を測定し，接合界面における化合物成長，ボイド生成および腐食反応などを評価した．第二に，支配要因を明確にするために，接合条件，Al膜厚，樹脂成分，加熱条件（温度，雰囲気）などが信頼性に及ぼす影響を調べた．第三に，接合不良の活性化過程および不良発生の活性化エネルギーなどを解析することにより，加速加熱試験結果と実使用信頼性を比較検討した。

■ MJ-336-99・・・Sn二元系合金のリフトオフ発生に及ぼす合金組成の影響

(Mate'99 優秀論文賞　記念講演)

高尾尚史，長谷川英雄(㈱豊田中央研究所)

　鉛フリーはんだによるリード部品のフローはんだ付けにおいて，リフトオフ(はんだと基板側のCu電極間の剥離)が発生し，実用化において課題となっている．リフトオフは，Biを含有するはんだや，Biを含まないSn-2.0Agにおいても，Sn-Pbレベラ基板を用いた場合に発生すると報告されている．リフトオフ発生には，剥離界面でのBiの濃化層の形成やはんだの凝固温度範囲(固液共存域)等が起因していると考えられているが，系統的な研究は少なく，その現象は十分に解明されていない．本研究では，Sn二元系合金においてBi，Pb，In量がリフトオフに及ぼす影響について調べた．その結果，いずれの合金系でも，リフトオフが発生する組成範囲と発生しない組成範囲が存在することがわかった．すなわち，Sn-Bi系では1～30mass%Bi，Sn-Pb系では10～45mass%Pb，Sn-In系では2～15mass%Inでリフトオフが発生したが，Sn-40～62mass%Bi，Sn-10～45mass%PbおよびSn-43mass%Inではリフトオフは発生しなかった．組織観察から，はんだ/基板側Cu電極界面でのBiの濃化は，Bi含有量の多い合金ほど顕著であることがわかり，従来論じられていた界面でのBi濃化による低融点相の形成とリフトオフ発生には相関が見られなかった．また，凝固温度範囲とリフトオフ発生との間には，いずれの合金系においても，リフトオフが発生する組成範囲では相関が見られた．しかし，凝固温度範囲(ΔＴ)を有していてもSn-40mass%Bi(ΔＴ=35℃)のように，リフトオフが発生しない合金があり，凝固温度範囲の存在のみでリフトオフが発生するのではないことがわかった．熱分析曲線と状態図とを照合した結果，リフトオフの発生には，合金が最終凝固する際の潜熱量が支配的であることがわかった．すなわち，これら合金は，最終凝固時の共晶反応の潜熱により，最終凝固温度(固相線温度)で一定時間以上保持されることにより，リフトオフが発生しなかったと考えられる．

■ MJ-337-99・・・高速スクリーンカットシステム

大迫貞伸, 木村定彦，平谷慎一, 富田良幸，杉峰正信, 牧野健一(住友重機工業㈱)

　近年、電子部品分野ではプリント基板の高密度、高集積化が高速に進んでいる。これに伴い半田ペーストを基板に印刷するためのメタルマスクでは、ファインヒ゜ッチ化高精度化が要求されている。住重はメタルマスク加工用としてリニアモータによるＸＹステージを採用した高精度レーサ゛加工システム（スクリーンカットシステム）を提供してきた。今回さらなる高速化の要求に応えるため、トレパニングヘッドを組み合わせた高速加工機を開発した。トレパニングヘッドはＸＹステージと同じくリニアモータで駆動されており単体では３０００ｍｍ／ｍｉｎの移動が可能である。トレパニングヘッドで従来加工速度を遅くする要因であった小径の丸穴加工、長方形の加工を行うことによって高速加工を実現した。従来機のスループットでは４０００穴／Ｈ程度であった長方形の加工が６０００穴／Ｈに、従来３０００穴／Ｈ程度であった丸穴加工が１００００穴／Ｈ程度にまでスループットをあげることができた。

■ MJ-338-99・・・パルスＹＡＧレーザによるリードフレームのマイクロ切断及び接合

櫻井茂行，三柳直毅，長野義也(日立建機㈱)

　微細な加工を目的とする場合には、レーザの出力特性だけでなく、ビーム品質が重要となる。このビーム品質の指標としてＭ２値がよく使用される。Ｍ２値はレーザ発振器その物の特性を示すだけでなく、レーザ発振器より出力されたレーザビームの集光性を示すものである。当社のレーザ加工機に搭載するパルスＹＡＧレーザ発振器は、加工内容に応じてＭ２値を２５程度から１００程度まで簡単な共振器の設定変更で選択することができる。Ｍ２値が２５に近い良好なビーム品質を利用した適用例としては、リードフレームの切断があり、速度は数１００ｍｍ／ｍｉｎと量産レベルにないが、微細性という面においては、エッチングに比べ１／５の微細化が可能である。Ｍ２値が比較的大きな５０～９０程度を利用した適用例としてダムバー切断があり、光加工の特長を活かしたレーザ照射位置検出システム（視覚トリガ）の採用とon the fly方式により、高速（１００ｄａｍ／ｓ）で高精度（２σ＝±３μｍ）の切断を実現している。また、その中間のＭ２値が４０程度のビーム品質を利用した例としてリードフレームのスポット溶接があり、これもダムバー切断同様、on the fly方式で、レーザ光と同軸のカメラによる画像処理と、テーブルの移動に伴う同期信号でのレーザ照射を組み合わせ、高速（３０ｐｉｎ／ｓ）で高精度のスポット溶接を実現している。レーザ加工の適用は、波長や発振形態などの選択が非常に重要であり、特に微細加工においては、ビーム品質が微細性の鍵を握る。また、本来のレーザ加工の特長に加え、前述した光による照射位置検出や検出信号に基づくレーザパルスの同期などの光加工の特長を活かせば、さらに応用が広がると考える。

■ MJ-339-99・・・半導体レーザのはんだ付けへの応用

笠原　泉，松本有史(㈱ハイパー・フォトン・システム)

　ハンダごてによるハンダ付作業を光を集光したエネルギーで代替することは以前から行われてきた．それは非接触加熱のため，狭いところのハンダ付が可能であり，かつハンダごての先の状態の管理や押付力の管理が不要のこと，および集光径を自由に変えることで被加工物に応じて最適の条件を得やすいことに基く．しかし現実には，光源としてハロゲン電球，水銀ランプを使うものでは集光径が大きく，ND:YAGレーザに代表される固体レーザを使うものでは大型となりイニシャルコストおよびランニングコストが高い欠点があり，あまり普及は進んでいない．当社では高出力半導体レーザの価格が低下してきたこと，およびハンダ付装置としては小形でランニングコストも低いものが可能との推定のもとに，半導体レーザを光源とするハンダ付装置の開発をおこない，現在出力1.5W，15W，30Wのものの市販を開始している．半導体レーザではそのライフが5,000時間以上と長く，CW光のため強度を制御しやすく，かつ，照射時間をmsオーダから秒オーダまで広く変えることが容易という利点がある．

■ MJ-340-99・・・ＹＡＧレーザによる微細溶接加工事例

有賀　哲(日本電気㈱)

　ＹＡＧレーザは、高密度の局所加熱が可能で、作業性・メンテナンス性・制御性にすぐれた特長を持つことから様々な分野の生産ラインの溶接工程で使用されている。溶接に使用されるＹＡＧレーザ加工機は、連続励起またはパルス励起のレーザで、ほとんどが光ファイバを使用した装置である。連続励起ＹＡＧレーザは、主に４００Ｗ以上のシーム溶接に使用され、５００Ｗ未満の比較的低出力のシーム溶接やスポット溶接には、パルス励起のＹＡＧレーザが使用されることが多い。レーザ溶接の主な適用分野としては、電子・電気や光部品、自動車電装部品、自動車車体等が挙げられるが、これらのうち、５００Ｗ未満の比較的低出力のレベルで行われている微細溶接の事例ということで、光モジュール、ブラウン管電子銃、ハードディスク磁気ヘッド、モータ、リレー、電池、燃料噴射ノズル、点火プラグ等の溶接実例を紹介する。

平成11年度配布資料一覧

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